2026年08月10日13時36分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】日本原燃は巨大なリスクの六ヶ所再処理工場をあきらめ、「核燃料サイクル」を中止すべき (下) 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
3.地震で壊れる恐れ+汚染されて「修理もできない」物理的限界
工場の設備そのものにも、隠された致命的な欠陥があります。
第一に、耐震不足の隠蔽です。原燃はガラス溶融炉について「想定される地震に耐えられる」と説明していますが、その評価対象はなんと外側の金属フレーム(ケーシング)やボルトだけであり、過去に割落事故を起こした「内部の耐火レンガ」は耐震評価の対象から意図的に外されています。
現在の新規制基準(700ガル)に対する補強工事も施されておらず、さらに大きな地震が来れば炉内部が崩壊する危険を抱えています。
第二に、修理が不可能という点です。過去の試験によって、溶融炉の内部は近づくだけで即死するほどの超高線量汚染区域(レッドセル)になっています。
長年の高熱で内部のレンガや機器がどれほど劣化・破損していても、人間が近づいて点検することも、壊れた部分を修理することも物理的にできません。
「点検も修理もできない老朽設備」に本物の廃液を流し込もうとすること自体、極めて無責任なギャンブルです。
4.政治に揺れ、言っていることがコロコロ変わる「山中規制委員長」
この危険な手抜き審査に対し、むつ市の中間貯蔵施設への燃料搬入遅れについて青森県知事など地元から不信の声が上がると、原燃は「本物の廃液処理を完成前に前倒しでやることも検討する」と二転三転し始めました。
ここで露呈したのが、安全を守る責任者である規制委山中伸介委員長の無責任な姿勢です。
山中委員長は当初、「工場内に大量の廃液が残っているのは非常にリスクが高い」と懸念を示していました。
しかし、廃液処理を前倒しすることで「2026年度完成」との原燃の目標が遅れる可能性が出てくると、一転して「廃液処理を急いで進めなければならないという認識はない」「残った廃液をきれいにしてから検査してという指示はしていない」と自ら発言を撤回したのです。
事業者の完成時期の都合に合わせて、規制側がハードルを上げたり下げたりする姿勢は、規制機関としての自壊であり信頼を完全に失わせるものです。
5.稼働してもプルトニウムの使い道がない
そもそも、そこまでして再処理工場を動かす理由があるのでしょうか。原燃の計画では、工場を動かして今後4年間で約5.9トンのプルトニウムを取り出すとしています。
しかし、取り出したプルトニウムを燃料(MOX燃料)に加工する施設はまだ完成しておらず、稼働するのは早くても2030年度です。
しかも、加工できる量は年間わずか2トン程度で、燃料にして原発へ運ぶまでに約4年もかかります。
つまり、せっせと再処理工場を動かしても、出来上がったプルトニウムの使い道(消費先)はどこにもありません。
日本は国際社会に対し「目的のないプルトニウムは持たない」と約束していますが、この計画は危険なプルトニウムと、処理できない高レベル廃液(爆弾)を六ヶ所村にひたすら溜め込むだけの結果になります。
6.偽りの「完成」ではなく政策の転換を
現在行われている「実廃液処理の前倒し検討」などの議論も、本質的な安全対策ではなく、地元の批判をかわしながら完成したと形だけを取り繕うためのパフォーマンスに過ぎません。
ガラス固化の技術が確立しておらず、一度壊れたら修理もできない以上、国と規制委が今すぐ行うべきことは明確です。
まず、「模擬廃液で十分」とする手抜き方針を撤回し、本物の廃液を使った全工程の検査を完了させることが可能か検討する。
そして、炉内部のレンガを含めた溶融炉全体の耐震性を一から厳格に評価し直す。
しかしここまでも巨額の費用が掛かっているうえ、将来発生するとみられる日本海溝沿いから千島海溝沿いにかけてのマグニチュード9クラスの巨大地震に耐えられるとも思えませんから、このリスクが巨大な六ヶ所再処理工場を潔く諦め、破綻した「核燃料サイクル」を中止し政策転換することです。
「動かないものを、動いたことにして突き進む」かつて幾度も繰り返されてきたこの無責任な構造を、私たちはこれ以上許してはなりません。(了)
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