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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2026年09月17日13時06分掲載
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農と食
あのコメをめぐる右往左往は何だったのか(下)農民も労働者も人として再生産されること
話は変わる。コロナが大きな問題となった2020年春、新潟・上越や山形・置賜、千葉・三里塚・神奈川・川崎の百姓衆と語らって「コメと野菜でつながる百姓と市民の会」というささやかなグループを立ち上げた。 コロナ禍で広がる貧困で、十分に食べられない人が増えている、と聞いたからだ。上越のコメ農家から「田植えの季節がきたが、今年は気持ちがわきたたない。このコメを食べられない人がいることがひっかかって」という電話が入ったことがきっかけだった。(大野和興)
2.問題の根源は低賃金にあり
「やろうか」というと、「やろうよ、生産者の側は自分がやるから、大野さんは対外関係やってよ」というので腰を上げ、都市の反貧困ネットや移住連、山谷で野宿者とつながって活動する知り合いらに連絡を取り、コメと野菜を届ける活動を始めた。23年末までにコメ約4万キロ、野菜を段ボールで数百個送った。 23年を一区切りとしたのは、コロナによる需要減で米価が暴落、農民の手取り米価がこの30年間のピークだったときの半値以下になってしまったからだ。コメ作りから撤退する農民が増え、村に貧困が広がった。
活動を終えるに当たって、なぜ都市にも農村にも貧困が広がったのかを追求しようと「農と食の貧困研究会」を立ち上げ、オンラインの研究会を4,5回やった。食と資本主義の研究者平賀緑さん(京都橘大学准教)に連絡を取りコーディネーターとして入ってもらった。 各地の名だたるコメづくり農民、その後「令和の百姓一揆」実行委員会代表を務める置賜の菅野芳秀さん、反貧困ネットの瀬戸大作さんら活動者、移住者の権利に取り組んでいる移住連や労働運動の第一線で働いている方々が参加してくれた。都市側、農村側とも自分たちが知らない世界の貧困の実態に触れることが出来、とても刺激的だった。都市の貧困の実相は農村側には初めて聞く話ばかりだった。貧困の現れ方はそれぞれ異なる。農村ではそれは村の消滅として現れていた。都市の人にはわからない話だった。
「あ、それで分かった」と大きな声を出したのは、上越の平場で大規模稲作と餅加工・販売を組み合わせた経営をしている峯村正文さんだった。非正規労働者の労働組合づくりの現場で活動しているオルガナイザーから、彼らの稼ぎと生活の実態について話を聞いていたときである。「おいしくて安全な食べ物、なんて話じゃないよね。生きていくのがやっとじゃない。食べる方が買えないのだから、農産物価格が安く安くなるのは当然だ」。「そういえば昔、低賃金低農産物価格っていったよね。資本家は農産物価格を安い方へ安いほうへと引っ張っていく。農産物価格は労働者の再生産費だから農産物の価格を安くすればするほど賃金も安くて済む」、と受けたのは若いとき青年団活動にのめり込み、今は60ヘクタールの大規模稲作を経営をする70歳代のコメづくり農民だった。
3,労働者も農民も人として再生産されること
賃金と農産物価格をどう考えるか、議論はそこに絞り込まれた。賃金とは労働時間のはずが、裁量労働制のもとで肝心の労働時間はあいまいになるばかりだった。農産物価格は限界生産費で決まることで農民の再生産が保障されるという農業経済の常識も、グロ−バリゼーションのもとで通用しなくなった。
こうした論議を経て、研究会は「全国一律最賃1時間1700円」に絞った要求をまとめた。社会の片隅で、農民を含めた研究会が、最低賃金に絞った要求を自分たちのものとしてまとめあげたことは、記録されてよいと思い、ここで記した。改めてここから出直し、賃金と農産物価格を統一的にとらえる政策づくりに乗り出してみたい、改めて資本論を読み直さなければ、と考えている。
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