2014年04月27日10時53分掲載  無料記事
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外国人労働者

エチオピア人労働者が労働組合を立ち上げ! −労働法遵守と労働条件の改善を求める− APFS労働組合執行委員長 山口智之

 今年2月12日、エチオピア人女性労働者4名がAPFS労働組合に加入した。彼女たちの職場は、埼玉県内のランドリー「セピアスピニング株式会社」(飯塚千恵子代表取締役)で、彼女たちの訴えによると、会社側は以下の法令違反を行っていた。 
 
書面による労働条件の明示を行っていない(全員) 
時間外割増賃金、休日割増賃金未払い(全員) 
有給休暇未交付(全員) 
社会保険等未加入(全員) 
工場長による外国人差別、いじめ、パワハラ(全員) 
最低賃金法違反(1名) 
 
これらの法令違反は、当組合に加入する移住労働者からよく受ける(本来あってはならないものだが)種類の相談で、この種の案件では通常、経営側に対する不信感や怒りが拭えないために、原職復帰ではなく金銭解決を希望する移住労働者がほとんどである。 
 
 しかし、4名は違った。 
「私たちは懸命に働いてきた。恥ずべきことはない。非は会社側にあるので、これを労働組合の力で是正させたい。その上で、引き続き堂々と今の職場で働いていきたい」 
 APFS労働組合は、彼女たちの固い決意を受け、集団的労使紛争を闘うべく「セピアスピニング分会」を立ち上げることを決意した。そして3月12日にセピアスピニング分会を設立すると同時に、会社に対して団体交渉を申し入れた。 
 
 第1回団体交渉は3月28日に開催された。その席で会社側は、(杆郢里飽様蠅靴童柩儼戚鷭颪鮑鄒することと、∩賃金未払・最低賃金法違反を認め、速やかに計算の上、これらを支払うことを約束。さらに、M給休暇に関しても法令どおりに付与すること、ぜ匆駟欷韻筝柩冓欷韻砲弔い討眩無擇靴堂弾する用意がある旨を明言した。こ姐饋雄絞未筌僖錺魯蘚に関しては、関係者に確認をとり善処する、ということになった。4名は満面の笑みを浮かべ、手を取り合って喜んだ。 
 
 ここまでは順調であったが、4月1日、事態は一変する。 
 
 ほとんど母語(エチオピアの公用語であるアムハラ語)しか話せない組合員のために通訳をしてくれていたエチオピア人男性が、彼女たちからのSOSを受けて組合事務所に連絡してくれたのだが、会社の現場責任者である工場長が4月1日、団体交渉での合意を勝手に反故にし、セピアスピニング分会の組合員全員に対して就労時間を半減すると一方的に通告。その旨の雇用契約書を作成して署名を強制したというのである。組合員がこれを拒否すると、工場長は「署名するまで働くことは許さない。自宅へ帰れ」と言い放ったという。 
 
 この非常識な会社側の対応の背景には、労働法に対する無知のほかに、外国人に対する差別があると推測される。無論、このような理不尽が許されるわけはない。これは明らかに、|賃慮鮠弔力使合意を無視 ∩塙膂をターゲットにした不利益取扱、という不当労働行為に他ならない。 
 APFS労組は直ちに会社側へ、かかる不当労働行為の撤回を求めるとともに、団体交渉の申入れを行った。第2ラウンドが開始されたのである。エチオピア人組合員たちは「どんなことがあっても会社には負けない。正義を求め続ける」と決意を語っている。 
 
 本案件は、移住労働者をめぐる悪質企業の典型であるが、これは氷山の一角に過ぎない。法令に違反し、移住労働者を傷つける企業は後を絶たないのが現実だ。 
 母国を離れて必死に生きている移住労働者。慣れぬ言語や文化の相違を乗り越えて働く移住労働者。私たちAPFS労働組合は、こうした人々の砦になろうと考えているし、移住労働者が安心して人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を勝ち取るまで闘い続ける。そのためにもセピアスピニング分会の闘いは負けるわけにはいかないのである。 


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