2016年03月14日21時42分掲載  無料記事
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政治

安全保障関連法廃止を求めて福島県民が結集 〜福島県で対参院選「市民連合」結成

「爾の俸 爾の禄は 民の膏 民の脂なり 下民は虐げ易きも 上天は欺き難し」 
 
 この一節は、陸奥国二本松藩(現在の福島県二本松市)5代藩主の丹羽高寛公(生年1707年頃〜没年1769年)が、藩士の戒めとするために寛延2(1749)年3月、二本松城の東側にある大石に刻ませたものであり、一般的に“戒石銘”と呼ばれている。 
 その意味するところは、「武士の給料は人々の汗と脂の結晶である。民は虐げ易いけれども、神を欺くことはできない。だから民を虐げると、きっと天罰があるぞ」。 
 この“戒石銘”から南に数百メートルほどの場所にある福島県男女共生センターにおいて、今年2月28日、安全保障関連法廃止や福島県内での野党共闘による参院選統一候補の支援等を目的に掲げる「安全保障関連法の廃止を求めるふくしま県市民連合」(以下、ふくしま県市民連合)が結成集会を開催した。 
 
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<開会挨拶> 
 
 結成集会は、ふくしま県市民連合呼びかけ人の遠藤宮子さん(福島県女性9条・24条の会代表)による開会挨拶で始まった。 
「私は太平洋戦争を経験していますが、あの当時の状況と今の状況はよく似ています。しかし、違うところもあります。それは、悪政に対して反対の声が各方面から出てきており、あらゆる年齢層が戦争反対を訴えていることです。戦前は言いたいことが言えない社会でしたが、今は言いたいことをはっきりと言うことができます。 
 今、日本は大変危険な状況に陥っており、中央でも地方でも力を合わせて行くことが必要です」 
 
<ビデオメッセージ> 
 
 続いて、東京の市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)で中心的に活動している中野晃一さん(上智大学教授)から両団体の連携を呼びかけるビデオメッセージが寄せられた。 
「各地で市民連合の結成を聞き、心強く思っておりますし、私たちとしては本部・支部という関係ではなく、地域ごとの主導によって、お互いに連携しながら盛り上げていければと思っています。 
 安全保障関連法を廃止に追い込むことは非常に難しいことですが、まず参院選で自公政権に楔を打ち込むことが必要です。改選1の選挙区で与党対野党という構図が描ければ、複数区や比例区で野党支持につながっていくと考えられます。1人区の福島選挙区でも野党が結集し、統一候補を擁立して力を合わせ、自公政権に対決することを市民の力で盛り上げていければと思っています。 
 福島第一原発事故から5年が経とうとしていますが、福島県の厳しい現状を自公政権は無視していますので、この現状を打開するためにも、参院選での統一候補擁立を目指し、ともに頑張っていきましょう」 
 
<結成趣旨> 
 
 次に、司会を務めたふくしま県市民連合呼びかけ人の塩谷弘康さん(福島大学教授)が、結成趣旨や今後の目標などを説明した。 
「3月下旬に安全保障関連法が施行されることにより、戦争で殺し殺される危険性が高まります。そして、今夏の参院選の結果次第では憲法改正が現実味を帯びてきます。そのような中、2月19日に野党5党党首会談が開かれ、4項目の合意事項が決定し、ようやく野党共闘がスタートラインに立ちました。 
 全国に目を転じれば、野党候補者の一本化が図られ、その中には無所属統一候補の擁立を決めた地域もあります。しかし、残念なことに福島県内での野党共闘に向けた取組は、まだ目に見える形になっていません。 
 福島県では『安全保障関連法が日本の平和、福島復興とは全く相容れない』という思いを強く持った県内の団体・個人が昨年9月13日と12月20日に、立場を超えて一日共闘行動を取り組みましたが、そこから発展して、この度、ふくしま県市民連合を立ち上げます。 
 ふくしま県市民連合は“3つの目標”(^汰簡歉禊慙∨,稜兒漾↓現在の日本国憲法の遵守と、それに反する集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回、8朕佑梁左靴鰺文遒垢訐治の実現。特に福島県では県内の原発全基廃炉)の実現を目指し、福島県内のあらゆる政党、団体、個人が垣根を超えて協力することと、福島県内の野党各党が早急に協議を開始して共闘態勢を整え、参院選の統一候補を擁立することを求めます」 
 
<野党各党代表者の発言> 
 
 集会には、民主党、共産党、社民党の各福島県組織から代表者が出席した。 
 主催者は各党代表者に対し、ふくしま県市民連合が掲げる“3つの目標”に同意するかどうか、また福島県において野党3党による参院選の統一候補擁立の意思があるかどうかについて見解を求めた。 
 これに対し、各党代表者は“3つの目標”には揃って賛同したものの、参院選での野党統一候補擁立に関しては、次のように見解が分かれた。 
 
「昨年11月、民主党は次の参院選福島選挙区の候補者として、現職の増子輝彦参院議員の擁立を決定しています。そのため、野党共闘そして野党統一候補となると、私がこの場で『分かりました』と申し上げることはできません。また、3月には民主党と維新の党との新党結成も控えており、それまでに新党名や綱領など、様々な課題をクリアしていかなければなりません。ふくしま県市民連合が大きなうねりを作り上げて、逆に民主党を動かしていただければと思います」(亀岡義尚・民主党党福島県総支部連合会幹事長) 
 
「2月19日の野党5党党首会談において、安全保障関連法廃止法案の共同提出とともに、4項目の合意がされました。そして、この野党5党党首会談を受けて2月25日、共産党は全国都道府県委員長・参院選候補者会議を開き、そこで国政選挙に当たっての野党共闘、選挙協力に臨むに当たっての基本方針を確認しました。その上で、共産党福島県委員会としては、参院選に向けて福島県内の野党間の選挙協力実現と候補者一本化を目指して全力を尽くす決意です。そして“野党は共闘”の声に応えて、民主党や社民党の各県連と直ちに協議に入りたいと考えています」(久保田仁・共産党福島県委員会委員長) 
 
「2月20日と21日に都内で開催した社民党全国大会において、野党共闘を各県でやっていこうと決定したところです。これを受けて、社民党福島県連合は昨日、臨時大会を開き、野党統一候補擁立のために独自候補を擁立しないことを決定しており、何としても民主党、共産党と統一候補を立てる努力をしたいと考えています。選挙は期間があればあるほどやり易くなる訳ですから、できるだけ早く野党統一候補を決定できればと思っています」(小川右善・社民党福島県連合会代表) 
 
<参加者からの意見・提言> 
 
 各党代表者の発言に続いて、会場の市民から野党共闘による福島県内での統一候補擁立を求める声が数多く上がった。 
 
「福島県の野党統一候補はこれからということですが、私が居住する地域では“衆院選はどうするのか”という話題が出てきています。しかし、参院選候補者が決まらないことには衆院選の話も進まないと思いますので、早い段階で福島県内の野党統一候補を決定してもらいたいと思います」(男性Aさん) 
 
「民主党は、維新の党との合流に一生懸命のあまり、野党共闘に対する熱心さに欠けているように感じます。多くの国民が野党共闘を望んでいる訳ですから、野党第1党の立場から先頭に立って取り組んでもらいたいと思います」(男性Bさん) 
 
「他県では野党間協議によって候補者一本化が進んでいる状況です。上の動きではなく、地元の動きに対して、いかに機敏に反応しながら協議の場につくかが求められていると思いますので、福島県での共闘に向けた取組に期待します」(男性Cさん) 
 
「安全保障関連法案が国会に提出されたときから、民主主義と人権が安倍政権に奪われると思い、国会前に何度も足を運びました。そのときから『野党は共闘』と訴えてきたにも関わらず、福島県では野党共闘に前向きでないように感じます。このままグズグズしていたのでは参院選で負けてしまいます。これから考えるのではなく、この場ではっきり決めてもらいたいと思います」(女性Dさん) 
 
「民主党、共産党、社民党を兄弟に例えるなら、一番上の兄が一番下の弟を盛り立てて候補者を一本化すれば、参院選に勝てる力になると思います。どうしても野党3党で候補者を決められないならば、3党がくじ引きしてでも決めるべきだと思います」(男性Eさん) 
 
<閉会挨拶> 
 
 最後に、ふくしま県市民連合呼びかけ人の吉原泰助さん(元福島大学学長)は、各党代表者に向かって「是非、勇気を持って野党共闘に向けて力を発揮してもらいたい」と訴えた。 
「今、私たちは主権者としての地位が脅かされ、平和的生存権が侵害されようとしています。私たちが『安全保障関連法反対』『憲法・立憲主義の堅持』を訴えて国会前を何度取り囲んでも、安倍首相は勝手なことをやっています。そして福島県では、福島第一原発事故以降、県民の人権が踏みにじられたままです。野党各党には、この集会における一人一人の思いを受け止めてもらい、是非とも野党協議の席についていただくことを望みます」 
 
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 “戒石銘”は武士の心得を説いたものだが、これを今の政権になぞらえれば「安倍政権は国民の声を無視し、税金を浪費して身勝手な政治ばかり行っている。このような政治を続けるなら、いずれ天から怒りの審判が下るであろう」ということになると思う。 
 集会終了直後、手拍子とともに「野党は共闘!」の大合唱が巻き起こったが、この福島県民の声が天に届くとき、安倍政権にいかなる審判が下るのであろうか。(館山守) 


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