2003年02月08日13時06分掲載  無料記事
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日本政府が援助の発電所復旧プロジェクトに疑問の声も 東ティモール

 【ディリ8日=和田等】日本政府は1月下旬、国連開発計画(UNDP)との間で東ティモール地方部の小規模発電所の復旧プロジェクトに関する合意覚書を調印した。このプロジェクトでは、地方部5カ所の発電所の復旧と、首都ディリのコモロ発電所の発電容量を維持するためスペアパーツを供給することが柱に据えられている。しかし、このプロジェクト合意に対しては専門家筋から疑問の声があがっている。 
 
 「プロジェクト全体をカバーするには資金がまったく足りないし、プロジェクト請負業者もまだはっきりきまっていない状態」だからだ。 
 
 さらに、たとえ発電所が機能するようになっても、維持するための資金をどう調達するかという問題が持ち上がってくることは必死。日本政府やノルウェー政府の支援により、ディリの発電所では昨年末に24時間の電力供給態勢を回復したものの、電気料金の徴収システムが確立されておらず、「電気料金の徴収率は一般家庭消費者で10%程度、事業消費者でも30%程度にしかすぎない」(発電所の維持にあたった専門家)という。 
 
 電気料金の徴収を妨げる一因としてあげられるのは、世界的にもみてもっとも高い部類に入るといわれる電気料金の設定。東ティモールの電気料金は1キロワット時あたり24・5セントであるのに対し、隣国のインドネシアは同7セント相当、オーストラリアが同8セント、シンガポールが4・3セントといった具合で、3倍〜6倍もの料金となっている。 
 
 失業率80%ともいわれ、満足に収入が得られない人が圧倒的多数存在する中で、電力供給をどのように維持していくのか。ソフト面で克服すべき課題が重くのしかかってくることは確実だ。 
 
 プロジェクト対象となる地方の発電所は、ボボナロ地区アタバエ、エルメラ地区アツァベ、コバリマ地区ベコ、ラウテム地区イリオマールなどで、プロジェクト資金総額は36万ドル。 


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