2004年12月31日01時41分掲載  無料記事
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国境を越えた友愛話を紹介 インド洋沿岸の津波被害で

【マドリード30日=山上郁海】スマトラ沖大地震で発生した津波で大きな被害を受けたインド洋沿岸諸国。欧州各国の旅行者も多く被害に巻き込まれ、連日大きく報道されている。イタリアの日刊紙ラ・レプブリカ(電子版)は29日、「ソリダリティー(連帯)」は国境を越えると、津波に巻き込まれた人々の間で生まれた友愛のエピソードをを紹介している。 
 
 インドネシアに次いで死者が多かったスリランカで、サーフィンを楽しんでいたのはイタリア人カップル、マルコさんとガールフレンド。海上で大波を待っていたときに、とてつもなく大きな波がやってきた。 
 
 通常の波ではない、津波かもしれない、海上の方が安全だ、と咄嗟に判断し、ボードの上で津波をかわすことにした。しかし、波は大きすぎ、カップルは離れ離れになってしまった。 
 
 マルコさんは、その後、流されてきたスリランカ人男性を救助。しばらくするとガールフレンドの姿も見つけ、3人で海の上を漂ったという。1時間あまりの後、波が引いたので地上に戻ると、その被害の大きさに驚いた。 
 
 ぼうぜんとする二人だったが、大きな被害を受けたのにもかかわらず、スリランカ人から食事を与えられ、近くの丘の上の宿に避難させてもらった。 
 
 「スリランカで受けた優しさは一生忘れない。彼らに恩返しがしたい」とマルコさん。 
 
 一方、新婚旅行でタイのプーケットを訪れていたときに津波の被害を受けたイスラエル人のグロスさん夫妻。命は助かったものの、ホテルのセーフティーボックスに入れておいた現金や航空券、パスポートなどの貴重品を失った。 
 
 ホテル付近でどうしようかと思案していたときに出会ったのが、東エルサレムのパレスチナ人の二人連れ。 
 
 「どうしたのか」と尋ねられ事情を説明すると、彼らは、「わたしたちにはまだ所持金があるから」とグロスさん夫妻に帰りの航空券を買うお金を渡したという。 
 
 グロス夫妻はイスラエルに戻り「本当にすばらしい人たちだった」と感謝の念を述べた。 


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