2005年01月02日02時14分掲載  無料記事
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「ツナミよ」英人少女の叫びがタイで人命救う 学校で習った地理の知識が役立つ

 【東京2日=ベリタ通信】「ツナミよ、ツナミが来るよ」―。タイ・プーケット島を訪れていた10歳の英国人の少女が、スマトラ島沖大地震が起きた昨年12月26日、波の変化にいち早く気づき、こう叫んで危険を知らせたため、数百人の命が救われていたことが分かった。少女は学校の地理の授業で学んだ「地震と津波」の知識が役立ったと話している。英国のタブロイド版朝刊紙サンが1日報じた。 
 
 それによると、この少女はサリー地区オックスショットに住むティリー・スミスちゃんで、サン紙は彼女に「ビーチの天使」の愛称を与えて、多くの人命を救った“天使の叫び”のいきさつを次のように紹介している。 
 
 ティリーちゃんは両親と妹(7)と共に、海岸リゾート地プーケット島のマイカオ海岸を訪れていた。大地震が起きた日も海岸に出て、妹のホリーちゃんと遊んでいた。その時、海を見ていたティリーちゃんが波の変化に気づいた。 
 
 「ビーチで遊んでいたら、海の水がおかしな動きをし始めたの。泡が立ったと思ったら、波が全部、突然引いてしまったの」。 
 
 「何かが起こると、とっさに分かったわ。そう、学校で勉強して覚えていたツナミが襲ってくると感じたの。そこでお母さんに『ツナミよ、ツナミが来るわ』と叫んで知らせたの」。 
 
 ティリーちゃんの叫び声を聞いた母親ペニーさんは直ぐに海岸にいた人たちに津波襲来の危険を告げたほか、近くのホテルの従業員や観光客らにも警告した。このため、マイカオ海岸地区にいた人たちはいち早く高台へ向けて避難ができ、惨事を免れた。 
 
 今回の津波でタイではプーケット島を中心に死者約4800人が出ており、その半数が休暇などを楽しんでいた外国人観光客とされる。しかし、マイカオ海岸ではティリーちゃんのとっさの叫びによりいち早く避難が行われたため、死者どころか、重傷者も出なかったという。まさに、「ビーチの天使」の一言が同海岸にいた数百人の命を救ったという。母親のペニーさんは「ティリーは家族の誇り」と幼い娘の勇気をたたえている。 
 
 ティリーちゃんが通っている学校で地理を教えている教師は、「生徒たちには海水が急に引くと、約10分後にツナミが襲ってくると教えた」と話し、授業内容が人命救助に役立ったことを喜んでいる。同学校の校長も「あの年齢ですごい知恵を働かせてくれた」と驚くとともに、「ビーチの天使」の勇気ある行動を賞賛している。 


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