2005年02月09日22時17分掲載  無料記事
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遊泳事故で四肢マヒの青年が勝訴、賠償額約3億円 豪州連邦最高裁が自治体側の過失認定

 【東京9日ベリタ通信=志岐隆司】オーストラリア連邦最高裁判所は9日、シドニー市内の有名ビーチで遊泳中に、海底の砂洲に激突、背骨を損傷し四肢にマヒを起こした青年の損害賠償請求を認め、同ビーチを持つ地元自治体に375万豪ドル(約3億750万円)の支払いを命じた。同国のAAP通信(電子版)が同日報じた。 
 
 それによると、訴えていたのはガイ・スウェインさん(31)で、1997年11月に市内東部にあるボンダイ・ビーチで海中に飛び込んだところ、海底にあった砂洲に体を強く打ちつけた。背骨を損傷したスウェインさんは四肢にマヒを起こし、車椅子での生活を余儀なくされた。 
 
 スウェインさんは同自治体のライフセーバー(監視員)が旗を立てて設定した「遊泳安全水域」で飛び込んだにもかかわらず砂洲に激突したのは、自治体が安全遊泳の確保に徹底を欠き、注意を怠っていたのが原因として損害賠償の支払いを求めていた。 
 
 ニューサウスウェールズ州最高裁判所は2002年5月にこの訴えを認めたが、同州控訴裁判所は03年4月、同判決を覆す判断を出した。このためスウェインさんは連邦最高裁に上告していた。 
 
 これに対し連邦最高裁は5人の判事のうち3人が「地元自治体側は安全義務を怠り、過失は明らか」と断定し、スウェインさんの訴えを認め、同自治体に損害賠償を支払うよう命じた。 
 
 美しい砂浜が続くボンダイ・ビーチは、シドニー中心部から東へわずか7キロ、バスでも約20分という恵まれた所にあり、市民たちだけでなく、外国からの観光客らでにぎわっている。サーフィンが一年中楽しめるビーチとしても人気がある。2000年9月のシドニー五輪ではビーチバレーボールの会場となったことでも知られる。 


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