2005年04月21日22時42分掲載  無料記事
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「なめてんのか」「殺すぞ」 ネットが告発する新聞勧誘の暴力

 「おめえ、なめてんのか」「録音してたら殺すぞ」。一人暮らしの若者に玄関先で新聞勧誘員が言った言葉がこれだ。新聞勧誘の悪質な実態を告発するインターネットサイトが増えている。脅迫まがいの勧誘員とのやりとりをを録音し、その一問一答や新聞本社とのやりとりまでを公開しているサイトもある。新聞の危機的な部数減の中での勧誘現場の実態がネットを通じてさらされている。(稲元洋) 
 
 「恐怖!新聞勧誘の横暴!!」と題した個人運営とみられるサイトでは、自宅に来た朝日新聞とみられる新聞販売員との一問一答のテープを公開している。 
 
 テープでは、一度、強引な勧誘に応じて契約した新聞を青年が「クーリングオフ」によって解約したことをめぐって販売員が激怒。「おめえ、なめてんの? 俺、嘘つき呼ばわりなんだけど、会社から」など猛烈に抗議している様子が生々しく再現されている。 
 
 青年がこのやりとりをテープに録音しているらしいと察した販売員は「録音してたら殺すよ」「おめえ、けんか売ってんのか? けんかなら買うよ?」などと暴力的言辞で脅迫している。 
 
 青年は録音テープを停止させられた後、警察を呼び、男を退去させた。サイト上の日付から事件は2002年7月に起きたとみられる。 
 
 青年は「命の危険が感じられ、その後もトラウマになり、夜眠れなくなった」として、朝日新聞社に対してメールで重ねて抗議。しかし、最終的に「取引関係会社であるため営業業務内容については指導出来ないし、業務内容に口出しは出来ないことをお分かり下さい」との内容が返答されたとしている。 
 
 青年はこのメール内容もすべてネット上に公開している。 
 
▽脅しに屈して契約 
 
 「新聞に関するコンテンツ」と題したサイトは、「一人暮らしの学生にとっての最大の敵は『新聞の勧誘』」と断言。新聞販売員が「お届けものです」と偽ってドアを開けさせた後、「兄ちゃん、なめてるのか、俺が配達に見えるか」「宅急便に見えるかって聞いてんだよ」などとたたみかけられた体験を書いている。 
 
 この学生は最終的に勧誘員の「明日からどういうことになるか知らねえぞ。毎日来たってこっちはかまわねえんだ。土曜でも日曜でもな」という脅迫に屈し、三カ月の契約を結ばされた。 
 
 「書いていて気持ちが悪くなる。情けない」とそれが実に屈辱的な体験だったことを学生は吐露している。 
 
▽植え付ける新聞への嫌悪感 
 
 「どの新聞も取り上げない新聞の勧誘問題」と題したサイトでは、このような悪質な販売員に対しては(1)ドアを開けない(2)速攻で断る(3)相手の話はまともに聞かないの三つを対策として推奨している。 
 
 新聞の販売部数の落ち込みは全国紙、地方紙とも深刻で、インターネットや携帯電話の普及により、特に「若者の新聞離れ」が著しいといわれている。ネットが告発する新聞勧誘の実態は、若者に新聞購読への「嫌悪感」を植え付け、新聞離れを加速させているようにも見える。 


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