2005年04月30日19時05分掲載  無料記事
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読者離れが加速する豪州日刊紙 インターネットの台頭で

 オーストラリアで発行されている主要日刊紙の大半が21世紀入り後、年を追うごとに発行部数を漸減させている傾向が明らかになった。インターネット上での情報提供が質、量ともに充実化していることで「読者離れ」が加速しているのが最大の原因とみられている。この傾向はコンピューター世代と呼ばれ、各種の情報をインターネット中心に得ている若者層の間で顕著という。主要紙の経営陣は長期的な視野に立ちながらニュースの多様化、ビジュアル化などを積極的に進め、若い世代にアピールする紙面改革の必要性に迫られている。(ベリタ通信=志岐隆司) 
 
 全国を6州(ニューサウスウェールズ、ビクトリア、クイーンズランド、サウスオーストラリア、ウエスタンオーストラリア、タスマニア各州)、2特別地域(北部特別地域=準州=と首都特別地域=キャンベラ)で構成するオーストラリアでは、国内外のニュースに加え、各州・地域の特性を生かし、地元住民のニーズにこたえた日刊紙および日曜紙が発行されている。 
 
 全国紙としては一般向けの「オーストラリアン」と、経済紙の「オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー」(AFR)があるが、国土の広さもあって購読層拡大が難しく、このため両紙の発行部数は他の主要日刊紙に及ばない。 
 
 全国紙2紙を除くと、オーストラリアの新聞は月曜?金曜日に発行される日刊紙と発行が週末に限られる日曜紙の2種があり、主要日刊紙数は10紙、これに対し主要な日曜紙もほぼ同数となっている。 
 
 同国で特徴的なのは、ウエスタンオーストラリア州(州都パース)で発行されている日刊紙「ウエスト・オーストラリアン」を例外として、他の州・地域で発行されている主要日刊紙・日曜紙が、世界的なメディア王、ルパート・マードック氏の「ニュースリミテッド」と富豪ケリー・パッカー氏の「フェアファックス」のいずれかの傘下に入っていることだ。つまり、主な全国的ニュース、海外ニュース、それにスポーツニュ−スに関しては、ほとんどの日刊紙がほぼ同内容の記事を掲載していることになる。 
 
 全国紙にしても「オーストラリアン」がニュースリミテッド系なのに対し、「AFR」がフェアファックス系と2極化されていることでも分かるように、同国新聞界はわずか2社による寡占状態下に置かれている。 
 
 そうした中、主要紙の経営陣が頭を抱えているのが「部数減少」という厳しい現実だ。発行部数調査を実施している専門機関「オーディット・ビューロー・オブ・サーキュレーション」(ABC)の最新報告によると、昨年9月から今年3月までの主要日刊紙の平均発行部数(1日当たり)は、前回同期調査に比べてほとんどが減少した。中には横ばいあるいは部数を伸ばした日刊紙も数紙あるが、増えたとしても1000?3000部の小幅にとどまっている。 
 
 日刊紙の中で最大発行部数を誇るのが、ビクトリア州メルボルンを中心に出ている「ヘラルド・サン」(ニュースリミテッド系)で、3月現在、1日当たりの平均発行部数は54万9500部。前回調査に比べて増減はなく、「最大日刊紙」という現状を何とか維持している。 
 
 これに対しニューサウスウェールズ州シドニーで発行される大衆紙「デーリー・テレグラフ」(同)は38万1996部にとどまり、長年維持し続けてきた40万部台を大きく割り込んでしまった。前回調査時の発行部数は40万9000部で、減少部数は1万7004部と大幅だった。 
 
 シドニーではフェアファックス系の「シドニー・モーニング・ヘラルド」(SMH)が「デーリー・テレグラフ」に対抗しているが、SMHの発行部数は前回調査より1422部減らした21万600部と、競争紙の部数減少という“好機”を生かすことができなかった。 
 
 このほか、クイーンズランド州ブリスベーンで発行されている「クーリア・メール」(ニュースリミテッド系)は20万7983部と前回調査時より約5000部減らし、また、高級紙との評価を得ているメルボルンの「エイジ」(フェアファックス系)も19万2800部にとどまり、同調査時より約2000部減となった。 
 
 全国紙部門では、「オーストラリアン」の発行部数が13万2300部と約1000部増えたのに対し、「AFR」の同数は8万4972部と約3000部の減少となった。 
 
 これら日刊紙と対照的なのが日曜紙で、シドニーを中心に発行される「サンデー・テレグラフ」(ニュースリミテッド系)は73万266部と、同国最大の発行部数の座を維持した。2位はブリスベーンの「サンデー・メール」(同)の61万4621部で、これに続く「サンデー・ヘラルド・サン」(フェアファックス系、メルボルンで発行)は前回調査時より約8000部伸ばして61万3000部となったが、2位にはわずかの差で及ばなかった。 
 
 今回の調査報告について、ニュースリミテッドとフェアファックスの両社とも「厳しい環境の中で十分に健闘している」と分析したほぼ同内容のコメントを出している。しかし、特に両社を代表する日刊紙部門では大半の部数漸減傾向が明らかなだけに、経営陣は読者離れの要因とされるインターネット対策を中心とする新機軸を打ち出し、読者離れに歯止めを掛ける必要に迫られている。 


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