2005年07月28日19時14分掲載  無料記事
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男と女はどっちが賢い?、ハーバード大学長発言が波紋

 米国名門私大ハーバード大学のローレンス・サマーズ学長が、今年1月に行なった「女性は男性に比べ、素質の面で科学や工学で劣っている」の発言は、そのインパクトの大きさから、依然各方面で話題になっている。この発言は、「男と女は、どちらがスマート(賢い)か?」という議論にも発展し、井戸端会議的な関心にもなっている。議論の中には、スマートだとかインテリだとかを判断するのは、「美しさ」を判断するくらいに、千差万別で意味がないとの意見もあるのだが──。(ベリタ通信=エレナ吉村) 
 
 ニューズウィーク/カプラン社発行の2005年版「アメリカズ・ホッテスト・カレッジ」によると、ハーバード大学の在学生(4年生)の内訳は、男53%、女47%になっている。米国屈指の超難関校だが、男女の比率を見る限り、ほぼ5分5分の状態だ。 
 
 サマーズ学長は、クリントン政権下で財務長官を務めた人物。同学長は、講演の中で「女性は、科学や工学で秀でた素質を持っていない」「この分野ではトップ・レベルの女性は少ない」などと、女性を差別する発言をし、大騒ぎになった。この講演を聴いていた女性教授が不快感を示し、退席したとの情報もその後伝わった。 
 
 2カ月後の3月には、同大教養学部の教授会が、学長不信任案を可決する事態になった。この決議には拘束力がなかったため、サマーズ学長は辞任を拒否。しかし、学内に特別チームが結成され、このチームの勧告に基づいて、7月には、性差、人種、民族的多様性について助言を与える役職が設置された。学内の教職員の間に広がった反学長感情を沈静化させるのが狙いとされる。初代アドバイザーには、リサ・マーティン教授(国際問題)が選ばれた。 
 
▽なぜヒトは例外? 
 
 一方、デトロイト・ニュース(電子版)によると、デトロイトマーシー大学では、2002年以来、高校2、3年に進学する女子生徒を対象に工学、科学、ロボット工学などの「夏季講習」を行なっている。女子は、工学に向かないとのステレオタイプ的な見解を代えるのが目標という。 
 
 同大学の講習責任者ダニエル・マジオ氏は、多くの女子が、工学を学ぶことを望んでいるが、彼女たちは、工学を学ぶことを(社会から)期待されていないため、尻込みしていると話す。 
 
 米誌パレードで、コラムニストのマリリン・サバントさんは、女子が工学に進出する割合が少ないのは、育てられ方が一因ではないかと指摘している。その結果、多くの女性は、外部での仕事より、家庭の方に関心を持つようになっているという。 
 
 サバントさんは、男女の優劣を、IQ(知能指数)検査などで計測しようというのも意味がないとし、そうした比較を試みるより、動物たちの実態をみた方がいいと指摘する。 
 
 例えば、メスのチンパンジーは、オスと同じように複雑な仕事をする。メスのゴジラも、オスと同様に、手話を学ぶことができる。またメスのモルモットも、オスと同じように、迷路を巧みに歩き回れる。こうして点から、サバントさんは「なぜ人は、女性が、例外だと考えるのだろうか?」と、疑問を投げかけている。 


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