2005年09月22日23時28分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200509222328484

「アンワル元副首相はゲイ」 マハティール前首相の発言めぐり応酬

 【クアラルンプール22日=和田等】マレーシアのマハティール前首相がさきごろ、アンワル元副首相をゲイ(同性愛者)と決めつけ、「ゲイの首相がマレーシアに誕生するのを阻止するためにアンワルを解任した」と発言した。これに反発したアンワル氏はマハティール氏に謝罪を要求。謝罪をしないのであれば、前首相を相手に名誉毀損訴訟を起こし、賠償金1億リンギット(約30億円)を要求するとの構えを示している。 
 
 これに対し、前首相は「アンワルには法律に基づいて私を訴える権利がある」と語り、訴訟を受けて立つ構えで、かつての「政敵」が再び法廷で「直接対決」する可能性も出てきた。英字紙ニュー・ストレーツ・タイムズが報じた。 
 
 与党・統一マレー国民組織(UMNO)最高評議会は1998年9月、アンワル元副首相が不道徳な行為にかかわったとして、元副首相の党からの追放を決定したが、21日に記者会見したマハティール前首相は同決定を擁護し、さらに、最高評議会は独自に集めた情報に基づいて追放決定を行なったと断言した。当時の最高評議会議長はマハティール前首相自らが務めていた。 
 
 一方、異常性愛行為を行なったとして起訴されていた元副首相は、昨年9月にマレーシア連邦裁(最高裁に相当)が罪状を裏づけるだけの証拠不十分であるとして無罪の判決を出し、6年の刑務所生活を経て自由の身となった。さらに今年に入ってからも、裁判所はアンワル氏を誹謗中傷した本「アンワルが首相になれない50の理由」の著者、カリド・ジェフリ被告に対して虚偽の情報を流したとして有罪判決を下し、アンワル氏が起こしていた損害賠償を求める訴訟でも裁判所はアンワル氏の訴えを認め、カリド氏に賠償金支払いを命じる判決を出している。名誉回復を求めるアンワル氏の巻き返しが徐々に勢いを得つつある。同書はアンワル氏が同性愛者であるとしている。 
 
 こうした中、ライス・ヤティム文化・芸術・遺跡相は、アンワル氏追放を決議した98年の最高評議会の決定を再考するよう求めた。これに関してもマハティール前首相は「最高評議会では『アンワルが首相になれない50の理由』に書かれていた内容を全く考慮に入れないでアンワルの追放を決定した」と語り、その本が裁判でどんな判定を受けようと最高評議会の決定は揺らがないとの考えを示した。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。