2005年10月06日13時35分掲載  無料記事
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中東

「イラクでの英兵殺害にイランが関与」 英政府高官が言明

 【東京6日=小林恭子】5日のBBCオンライン報道によると、英政府高官が、今年に入ってイラクで命を落とした英軍兵士計8人の死にはイランが関与していた、と述べた。この政府高官は匿名を条件にロンドンで記者会見した際、イラン関与に言及した。イラクの治安悪化にイランが関与している、という見方は長い間英政府内でささやかれてきたが、英軍兵士の戦死に関し、名指しでイランの関与を明言したのは、今回が初めて。 
 
 BBCは高官が会見に応じたことについて、英国とイラクとの外交関係が、イランの核開発問題を巡って既に悪化している状態であるため、何を発言しても「失うものはない」と考えているからではないか、としている。 
 
 この政府高官によれば、イラン革命防衛隊が、イラク南部のイスラム教徒シーア派に、殺害を引き起こす爆破方法を教えた、という。細かな爆破技術はレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラがイランを通じて伝え、「爆発物」が製造されたという。 
 
 実行犯は、イスラム教シーア派の指導者ムクタダ・サドル師の民兵組織「マフディ軍」から分かれた者たちで、このグループのリーダー格と言われるアーマド・アルファルツシは既に英軍に逮捕され、「現在、英国式歓待を楽しんでいる」(政府高官)という。この逮捕をきっかけに、現在も続くイラク南部バスラでの反英抗議活動が起きた、とBBCは伝えている。 
 
 政府高官によると、英政府はこの件に関しイランに抗議したが、イラン政府は関与を否定したという。 
 
 イランがなぜ、英兵に爆弾を仕掛けたのか?高官によれば、核開発に対する英国をはじめとする各国の非難に対し、「イランは、もういじめられるのはたくさんだ、と思ったのかもしれない」。. 
 
 高官は、10月19日に始まるフセイン元大統領の裁判が、12月に予定されているイラクの選挙の後まで延期になる可能性がある、とも指摘している。 
 
 一方、イラン外務省のハミド・レザ・アセフィ広報官は5日、イランのテレビ番組に出演、英政府高官の見解を「ウソ」と決め付けた上で、英政府がイラクの治安不穏状態を悪化させようとしているだけだ、と反論した。さらに 同広報官は、「英国こそがイラクの危機の原因だ」と主張した。 


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