2005年10月16日09時47分掲載  無料記事
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保護したオランウータンなど転売、インドネシア

 【じゃかるた新聞特約16日】汚職を調査し告発する非政府組織(NGO)の市民情報センターは今月十一日、本来は保護動物を密輸から守るはずの天然資源保護事務所の幹部三人が密輸に関与していたと告発した。三人は、長年にわたってオランウータンなどの保護動物の密輸に関わり、国家に数十億ドルの損害を与えた疑いがあるという。このNGOは、三人が国際密輸シンジケートの一員だった可能性もあると指摘し、政府に対し、取り締まりの強化を訴えた。 
 
 告発されたのは、森林省が管轄する天然自然保護局の所長(イニシャルでPW)と同局第一ジャカルタ支部長(同MH)、同局第二ジャカルタ支部長(同ES)の三人。 
 
 市民情報センターによると、市民から寄せられた情報や隠し撮りビデオで、三人が保護動物の密輸に関与していた疑いが強いことが判明。近く、警察などに捜査を依頼するとしている。 
 
 NGOの調べでは、三人は、オランウータンやクスクスなど保護動物を売っている違法ペットショップを摘発し、動物を押収。 
 
 その後、刑事事件にしないことと引き替えに金銭を受け取り、さらに押収した保護動物を密輸業者に売りさばいていたという。 
 
 現在、オランウータンは密輸業者の間で、中国や日本などアジア向けでは一頭約一億五千万ルピア(約百六十万円)、米国向けだと同四億五千万ルピア(約五百万円)の高額で取り引きされており、市民情報センターのユスフ・リザル代表は「三人は長年にわたって同様な行為を繰り返し、国家に数十億ドルの損害を与えた疑いがある」と述べ、三人の上司である森林省の高官が関与している可能性もあると指摘した。また同代表は、インドネシアは稀少動物の密輸に関して世界でも悪名高い存在になっているとして、政府に対し、早急な対策強化を求めた。 
 
 一方、第二ジャカルタ地区のES地区長は、本紙の取材に「初めて聞いた話で非常に驚いている。密輸に関与した事実はない」と容疑を否認した。 
 
▽インドネシアでの保護動物密輸 
 
 森林省によると、インドネシアではオランウータンやクスクス、ハンドウイルカなど95種が保護動物に指定されている。 
 
 国内ではジャカルタやバンドン、スラバヤ、バリなどが保護動物の密輸マーケットの中心地とされ、バタム(リアウ諸島州)やタンジュンバライ(北スマトラ州)などからシンガポールやマレーシア経由で海外に密輸されている。 
 
 特に、東ジャカルタ・プラムカ市場が国内最大の密輸マーケットとして有名で、「ゾウやサイ以外なら何でも手に入る」(自然保護NGO)と言われている。 


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