2005年11月10日22時25分掲載  無料記事
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選択的伐採で森林破壊は倍化 南米アマゾン熱帯雨林の調査で判明

 【東京10日=齊藤力二朗】米国スタンフォード大学の研究チームが人工衛星写真を比較調査した結果、南米アマゾンの熱帯雨林で、特定商業樹種だけを選択的に伐採するほうが森林の破壊が進行することが分かった。 
 
 アルジャジーラ・ネット(アラビア語電子版)がこのほど報じたところによると、米国の研究者らは衛星写真を用いて、マホガニーなどの樹種の選択的伐採(択伐)がアマゾンの熱帯雨林の破壊規模にどのような結果をもたらすかを詳細に測ることに初めて成功した。 
 
 研究チームは、市場価値がより高い木材となる樹種に集中した択伐法が引き起こす森林破壊を考慮に入れると、森林消失の実際の度合がこれまで言われてきた規模の倍に達するという結論を得た。 
 
 アマゾンの熱帯雨林地帯にはマホガニーをはじめ35種を超える硬質で流通可能な樹種が存在している。 
 
 グレゴリー・アズナー教授の率いる研究チームは、伐採、加工、運搬される人気樹種が一本ごとに、平均三十本の別の木に被害を与えるか、枯れることになると算出した。伐採された木に絡みついていたツル植物が周囲の木々をも引き抜いてしまうからだ。 
 
 また、農業目的で完全に伐採された地域と、選択的伐採をした地域を比較した結果、選択的伐採が環境へ与えるマイナスの影響が未だに無関心のままであるという。 
 
 選択的伐採に対する監視は、製材所の調査(この方法では材木の原産地は不明)や、切り株数の調査といった正確さを欠く手法に頼ってきた。これは危険な作業で人手も多くかかるため、これらの手法は広範な評価を行うには現実的ではない。 
 
  「サイエンス」誌前号で発表された研究で、アズナー教授らは鮮明度の抜群な衛星写真を用い、ブラジルの五つの州における選択的伐採の度合を調べた結果、森林伐採の90%がアマゾン川流域で行われていることが明らかになった。 
 
 また、1999年から2002年までの間に選択的伐採が行われた面積は、年間120万〜200万ヘクタール(ジャマイカとプエルトリコを足した面積に相当)であることが判明した。 
 
 研究者らは、選択的伐採による森林破壊の割合を、これまでの評価の60%〜123%増しだと見積もっている。 


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