2006年03月21日18時46分掲載  無料記事
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連邦政府と州政府でねじれ現象続く豪州

【アデレード21日=木村哲郎】18日に投票があった南オーストラリア州とタスマニア州の議会選挙は、現在も開票が続いているが大勢が判明した。南オーストラリア州では21日現在、労働党が47議席中28議席を獲得、同党は1985年以来初めての安定過半数を得た。またわずかながら逆風が吹いたタスマニア州でも、伝統的に強い労働党が25議席中14議席を獲得した。両州とも労働党が危なげなく選挙戦を終えたことから、6つの州と2つの準州すべての州議会で、国政では野党の労働党が政権を持つ「ねじれ現象」がオーストラリアでは続くことになる。 
 
 選挙結果を分析した全国紙ジ・オーストラリアン(21日付)によると、経済が好調なオーストラリアでは市民が政権交代を望んでおらず、ねじれ現象は当面続くだろうと解説した。 
 
 同紙は、中央では経済重視の連邦政府の保守連合(自由党と国民党)と、地方では各州に合ったやり方で雇用や経済の発展を推し進める労働党の優位は、当分のあいだ変わらないだろうと予測している。 
 
 一方、今月27日の施行を目前にした「労使協定改革」は、経済力重視のハワード首相の長年の夢であったため雇用者側に有利とされており、その反動で今回の州選挙で労働党に票が回ったともいう。 
 
 しかしハワード首相はこれを、「極端な見方だ」と否定。労使協定改革は連邦政府の担当で、州政府には一切関係がないことからも、「選挙戦が始まる前から州の野党は選挙への準備をしなくてはならない。何かが起きることを待つわけにはいかない」と州選挙での敗北は、選挙戦の準備を怠った自由党地方部にあるとの見解を示した。 
 
 だが再選した南オーストラリア州のラン首相は、国民の支持を得ていない労使協定改革が州選挙に影響を与えたとして、「人々が嫌悪している新しい労使協定が連邦政府の信用をなくした」と述べた。 
 
 8つの地方政府と連邦政府があるオーストラリアで政権交代があったのは4年前。南オーストラリア州で労働党が自由党から政権を奪い、このときからオーストラリアの全ての州で州政府と連邦政府のねじれ現象が続いている。 


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