2006年05月20日11時25分掲載
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財界総本山でコスタリカが話題に 長期的視野で発展するモデル国 安原和雄 (仏教経済塾)
(財)経済広報センター(経団連による設立)主催の企業倫理シンポジウムが5月15日、財界総本山・日本経団連(会長・奥田碩トヨタ自動車会長)の経団連会館(東京・千代田区大手町)で200人を超える経済人を集めて開かれた。
日本経営倫理学会会員でもある私(安原)も参加したが、席上、中米の小国コスタリカが一つの模範的な国として話題になった。私は「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」世話人の一人として、多数の経済人が集まる場でコスタリカが話題になり、しかも高い評価を得るのは珍しいと思うので、その内容を紹介したい。
企業倫理シンポジウムにスピーカーとして出席したのは、企業倫理の分野では米国でも定評のあるブリガム・ヤング大学マリオット・スクール・オブ・マネジメント学部長、ネッド・C・ヒル博士(テーマは「何故、高い企業倫理が必要なのか」)と副学部長、W・スティーブ・アルブレヒト博士(テーマは「株主、企業価値の毀損をいかにして防ぐか」)である。
このシンポジウムでは企業倫理上、企業経営の短期的視点と長期的視点のどちらが望ましいかが中心テーマでもあった。その内容は次のようである。
*目先の利益や株価を重視する短期的視点に立つ企業経営は、業績や利益しか視野におかないため、労働者を人間として考えず、簡単に解雇するなど、搾取の対象とする。従って「企業市民」としての社会的責任を軽視し、地域住民や市当局からも相手にされなくなる。利益も株価も低下していき、やがて企業そのものが破綻に追い込まれる。
*一方、目先の利益や株価よりも雇用重視、地域・環境貢献など長期的視点から社会的責任を積極的に果たしていく企業は「企業市民」として評価される。結局、利益、株価も上がり、長期的には発展する。
2人のスピーカーはともども以上のように発言したが、その文脈の中で学部長のヒル博士は「長期的視点に立つ国」としてコスタリカを挙げ、次のような趣旨を指摘した。
「コスタリカは美しい国である。なぜか。国土の多くを国立公園など(注1)にして、自然環境保護に取り組んでいるからである。いまではエコツーリズム(注2)の国としても有名で、世界から多数の人々が集まってくる。そのお陰で経済がしっかりしてきている。周辺の他の国と比べれば、その良さがよく分かる。目先の利害にとらわれないで、環境保護などの長期的視点に立つ経済の運営がいかに大事であるかをこの国は示している」と。
(注1・安原)コスタリカは、国土面積全体の約25%の地域を国立公園、生物保護区、森林保護区などに指定し、そこには原生生態系の95%が含まれており、自然環境保全の先進国としての地位を確立している。もともと自然が美しく、国土は日本の約7分の1という小国であるにもかかわらず、日本に比べ生物種の豊かさを誇っている。例えば哺(ほ)乳類は266種(日本は136種)、鳥類は約850種(日本は約500種)など。
(注2・同)豊かな自然の保全を背景にコスタリカはエコツーリズム(生物多様性を資源として活用する新しい観光)の発祥の地であり、その先進国としても世界的に注目されている。エコツーリズムによる外貨獲得高は、1993年にそれまでトップだったバナナ輸出を上回り、最大となっている。
コスタリカは小国ながら、次の3本柱の国是を持っており、独自の路線を堅持している。
�〃蛎眷兒澆犯麌霑�中立
�∧刃臓�人権教育
��自然環境保全
(安原和雄「軍隊を捨てた小国の智慧―コスタリカ・モデルを訪ねて」駒澤大学仏教経済研究所編『仏教経済研究』第33号所収、2004年5月刊・参照)
企業倫理シンポジウムの席上では、コスタリカの3本柱のうち、自然環境保全の柱が「国の倫理」の望ましいあり方として評価の対象となったわけで、これは「国の品格」としても高い採点が与えられることを意味している。
*「安原和雄の仏教経済塾」のホームページは
http://kyasuhara.blog14.fc2.com/
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