2006年05月29日11時45分掲載  無料記事
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根津教諭の「君が代」拒否

語り合い元気をくれる人、対話を拒否する人、問答無用の新たな攻撃を強行する都教委

  「君が代」拒否で停職中も路上で「出勤」を続ける、根津公子教諭(鶴川二中)のもとには様々な人たちが立ち寄る。行動への理解と励ましを示しじっくり話し合っていく人がいるかと思えば、声を荒らげ嫌悪感だけを見せて立ち去る人もいる。自分の問題提起に対する道行く人たちの反応を、同教諭はどのように受け止めているのだろうか。それを綴った先週の報告では、同じように教育者としての信念から入学式で不起立行動に出た教員たちに対して、東京都教育委員会が新たな問答無用の攻撃をかけてきたことが明らかにされている。(ベリタ通信) 
 
5月22日(月) 
 立川二中へ。久しぶりのお日様。今日また初めて声をかけてくださった方が二人。自転車から降りて「(処分が)ひどいもんだね。軍国主義と同じだよ」と、おじいさん。もうお一人は、車の窓を開け、大きな声で「がんばってくださーい」。 
 卒業生のAさんが立ち寄ってくれた。自分の体験から一人ひとり違っていい、同一性を求めなくていいと思うのだと言う。いつも優しさとさわやかさを漂わせているAさんの、これまでを聞きながら、乗り越え獲得してきたことの大きさとともに、それまでの辛さ(=常識が幼い心に載せた重石)を思わずにはいられなかった。子どもは幼くても人格を持った一人の人間であることを、Aさんは語らずとも、知らしめる。マイナスの体験をプラスに転化させたAさんのことばに心から納得した。私が「君が代」の強制に体を張って反対するのは、個性や人権を否定し、同一性を強要する社会にさせてはならないと思うからなのだが、Aさんの感じ方と共鳴するところが多少でもあったのかな。Aさん、いい時間をありがとう。 
 午後はほかに訪問者2組4人。学校は、運動会まであと5日。1日中運動場がにぎやかだ。放課後練習時は、門の中と外とでおしゃべりを交わし、放課後はいつものように。1週間の始まりに今日も元気をもらった。 
 
5月23、24日 
 2日続けて鶴川二中へ。二日続けて文句を受けた。 
 23日1件目。「あんた、日本人か!」。顔を上げると60代後半位の男性。答える間もなく続けて、「ふん、君が代…国歌だ!」と吐き捨てるように言い、去ってしまった。 
 2件目。近くにお住まいのBさんが私を訪ねてくださっておしゃべりをしているところに一人の女性が歩を止め、突然大きな声で感情を荒げて、「Bさん、ここで何してんのよっ。こんなことにかかわるのやめなさいよ」「ホームページを見ると右翼がやってきたというからここにも右翼がやってくるかもしれないでしょ」と言う。どうも私のことを非難し、その非難の矛先を顔見知りのBさんにぶつけているようなので、私は自己紹介をし、話を引き継いだ。右翼が直接学校を訪ねたり、私と会ったりはしていないことを言い、私がここに立っているのが迷惑なのは、右翼が来るかもしれないからなのか、立っていること自体がなのか、と訊いた。その人は「立っていることが」と言う。さらに、「静かな住宅地に似合わない」「保護者としては、怖い。気分が悪い」と。「保護者、ではなくて、保護者の一人であるあなたは、ですね?昨年の新聞調査では、都民の70%は処分付き強制に反対でしたから」「気分が悪い、似合わない、ではなく、きちんとお話をしましょう」と伝えた。 
 24日には、近所の老人や訪ねてくれた友人たちとおしゃべりしているところに、気づくと3人の女性(=保護者OB2人と保護者1人だとのこと)が険しい表情で私のプラカードを見ている。近寄って自己紹介をし、「何かおっしゃりたいことがあるのですか」と尋ねると、「ここに立たないでほしい」と続けざまに言う。訳を尋ねると、「教員なのだから子どものことを考えなさい」「国歌なのだから起立すべきだ。歌うまではしなくてもいいが」と。「私は教員だからこそ、こうしているんです。社会で起きている事実を子どもたちが知ることはいけないことでしょうか」「国歌だから起立と、なぜ自明の理のように結論づけるんでしょう」と一言聞き返したところで、少し前から暗くなっていた空から雨が落ち始め、3人は去ってしまった。私は背後から、「またいらしてください」と声をかけた。この人たちが「子どものために」と言うことと、私の言うそれとはどこがなぜ違うのか、どういう人に育ってほしいと望んでいるのか、両者の意見を出し合い、語り合いたい。相手の意見を聞き、考え合う作業が必要、と思うから。 
 人通りの少ない鶴川二中の前ではあるが、今日も初めての方二人を知った。お一人とはじっくり立ち話をした。もうお一人は立ち止まって、「ご苦労様です」と丁寧に頭を下げられた。 
 
5月27日(金) 
 今日は入学式での不起立者5名(すべて高校)に対しての処分発令日。都教委への抗議と不起立者への激励に参加した。70名以上の人が駆けつけていた。今回初めての不起立者が2人(=戒告)。考えながらの2回目の人が3人(=減給1ヶ月)。都教委が凄まじい攻撃をしていることを承知で新たに決意し、不起立不服従行動に出る人が続くことは、希望であり、強固な連帯だ。今回処分を受けた人が言っていた。「定年までの年数を考えたら、ここらでやらなくちゃと思って」「当然のことをしただけです」。 


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