2006年06月14日01時23分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200606140123423

仕事か育児か、今も悩む米キャリアウーマン 女性キャスターの「妊娠降板」で再び論議

 女性はキャリアを重視すべきか、それとも育児を重視して家庭にとどまるべきか──。昔から議論されているこの問題が今、米国社会で盛んに取り上げられている。伝統的なフェミニズム(女権拡張論)運動の歴史を持つ米国だが、最近、米ABCテレビのメーンキャスターが出産のため、花形職場から離脱したことで、女性の社会的地位をめぐる問題に火がついた格好だ。(ベリタ通信=苅田保) 
 
 かつて女性が学歴を身につけ、社会でキャリアウーマンとして出世の階段を上っていくことが、盛んに美徳と思われていた。米紙プレス・エンタープライズなどによると、最近は、こうして傾向にも変化が出ているという。 
 
 女性問題に関しての著作がある作家ダニエル・クリッテンデンさんは、14年前に最初の子どもを生んだ。当時は、女性の社会進出が奨励され、育児のために家庭にとどまるような女性は、あまり歓迎されない風潮があった。 
 
 このため公園などに行くと、遊んでいる子どもの面倒を見ているのは、共働きなどの親に雇われたナニー(子守り)ばかりという光景によく出くわしたという。 
 
▼伝統的なフェミニズムにも変化 
 
 しかし、最近は女性の考え方が、より柔軟になり、性差別や社会的平等を叫ぶ伝統的なフェミニズの考えに組しない女性が増えている。クリッテンデンさんによると、大多数の女性が、金銭的に外で働く必要がなければ、自宅にとどまりたいと考えているという。 
 
 こうした傾向の半面、主婦業とキャリアをバランスよく維持しようと日夜悪戦苦闘している女性も多い。 
 
 米カリフォルニア州に住むタミー・シポスさん(36)は、数年前に勤務地が遠くに変更になったため、会計事務サービスの会社をやめて主婦業に専念した。しかし、何か物足りない感じがして、最近自宅でコンサルタント業を始めた。 
 
 マイケル・パラダイスさん(40)は、同州リバーサイド郡の地方検事。最初の子どもが生まれたとき、自分の愛するキャリアを捨てようかと考えた。しかし、育児の大変さに気付き、結局“骨休み”のために仕事に戻るような結果になった。 
 
 その後離婚し、仕事の傍ら、子どもの面倒をみている。夜の6時半に子どもたちを託児所に迎えに行く。その後、食事をし、子どもたちと遊び、入浴させる。それから本人は読書をし、床に就く。 
 
 また大学で経済学を学び、MBA(経営学修士)の肩書を持つリサ・ルイスさん(31)は子どもを生むため、キャリアをあきらめた。「キャリアウーマンになることを考えていた。しかし、母親になることがいかに素晴らしいかは、誰も教えてくれなかった」と話している。 
 
 現在は、流行のインターネット・ビジネスに参入し、オンラインのベービー用品ストアーを設立した。いつの日にか、起業家として成功することを夢にみている。 
 
 ABCのメーンキャスターが出産で降板したのを契機に、テレビやインターネット、それに雑誌、本などで女性の生き方をめぐり、活発に議論が交換されている。女性支援の最大組織「NOW」が創設されてから40年が経つが、「NOW」などがキャスター降板を「性差別」と反発しているため、今後に尾を引きそうな気配だ。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。