2006年07月09日22時43分掲載  無料記事
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植物の根で飢えしのぐ避難民 中央アフリカの武装対立深刻化 国際社会の関心は鈍く

  【バンギ7日=IRIN】世界食糧計画(WFP)のチャールズ・デイ中央アフリカ共和国代表は6日、首都バンギでの記者会見で、同国北西部の混乱地域を支援するための援助資金として300万ドルが必要だと明らかにした。デイ代表は「同地域では多くの人々が一日一食しか口にできない状況だ。生き残るために野生のハーブの根を食べている」と明らかにした。 
 
  中央アフリカ北西部のオウハム州、およびオウハムペンデ州では、2005年末に反政府武装グループの襲撃が始まって以来、数万人規模の民間人が家を追われている。その数は政府軍が同地域に展開、武装グループ掃討を始めてから、さらに増えている。 
 
  WFPは援助を必要としている人々の場所により近い中央アフリカ中部のカガバンドロ州の事務所を再開するため、新たな資金を使う方針だが、デイ代表によると、国連や諸機関の訴えに対しても支援国の反応はこれまでのところ鈍く、求められている資金の3分の1しか届いていないという。 
 
  デイ代表は新たな資金について「北西部での戦闘の影響をこうむった人々が緊急に必要としている物資供給を助ける」と話した。また、資金の一部は雨期に入っている現地で、橋を補修し、援助物資を運ぶ車両を借り上げるためにも必要だとした。 
 
  赤十字国際委員会(ICRC)によると、中央アフリカ北西部では少なくとも100の町や村が援助を必要としている状況にある。 
  今月5日からICRCと地元組織は、1カ月間をめどにオウハム州の町マルクンダで、国内避難民を対象とした援助物資の配布を始めた。配布物資は食糧だけでなく、バケツ、石鹸、防水布、毛布なども含んでいるという。 
 
  デイ代表は、北西部の食料事情は「深刻」だとし、特に女性と子どもが援助を必要としていると述べた。避難民は草むらで暮らしており、食糧や薬を差し迫って必要としているほか、マラリアや飲料水に起因する病気、栄養失調などの危険にさらされているとも訴えた。 
 
  北西部の政情不安が始まってから、学校は機能を停止、病院も閉鎖されるなど多数の人々が苦難の生活を強られている。武装組織の対立が加速するに従い、農民が農地を放棄したことが、食糧危機につながっている。 
 
  国連難民高等弁務官事務所によると、中央アフリカから隣国チャドへは、少なくとも4万人の民間人が避難場所を求めて国境を越えており、中央アフリカ国内の別の場所にさらに5万人が避難している。避難民たちは反政府武装組織だけでなく、政府側の大統領警備隊による襲撃も恐れているという。(編集・翻訳/ベリタ通信=河合敦) 


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