2006年11月30日14時17分掲載  無料記事
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共謀罪審議入り狙う自民党 市民グループは緊急集会で対抗

  与党は共謀罪の審議入りを強行し、今国会中にも強行採決を図るのではないか、という警戒が強まっている。衆議院法務委員会理事会では今週に入り、自民党議員から再三にわたり、同法案の審議入りを主張する発言が出ている。教育基本法、防衛庁の省昇格法案など安倍内閣が執念を燃やしている法案成立のめどがついた現在、次の焦点として共謀罪が浮かび上がってきた。同法案に反対する市民団体は12月1日、同6日を立て続けに緊急集会を構え、法案阻止を呼びかける。(大野和興) 
 
 
  法務委員会の野党筆頭理事を務める民主党の平岡秀夫議員は、自身のウエッブ28日付で、「与党は、『防衛庁の省昇格法案』が衆議院で採決されたら、直ちに、『共謀罪の創設法案』の審議に無理やり入って、最後には、強行採決しようとしているように思えて仕方ありません。今国会での成立を逃して、来年の通常国会に持ち込まれては、通常国会閉会後に予定される参議院議員選挙に影響が出てくるため、強行採決はでき難くなるからです」 
と分析した上で、 
 
「今週中が、『共謀罪の創設法案』の審議入り(法案成立のため参議院の審議日程の確保を考えれば、強行採決も含まれるかもしれません。)の山場となりそうです」と警告している。 
http://www.urban.ne.jp/home/hideoh29/0611/061128.html) 
 
 
  また、社民党の保坂展人議員も「30日の安保委員会で『防衛省昇格法案』が採決される。このタイミングを見て、一日も早い法務委員会での「審議入り」を狙っている見て、間違いがない」と自身のブログ「どこどこ日記」に書いている。(http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/28f9cb4f2039edf296c427372b5f2664) 
 
  平岡議員によると、現在法務委員会には「少年法の一部改正法案」と「共謀罪の創設法案」の二つの政府提出法案が残っており、現在、どちらの法案を先に審議するのかで、法務委員会の理事会では激しい攻防が繰り返されている状況。野党側は、審議入りの前提条件が整っていない「共謀罪の創設法案」よりも、いじめ問題などで関心がもたれている青少年問題に関係の深い「少年法の一部改正法案」を先に審議すべきであると主張している。これに対して与党は、「二つの国会で継続審議となっている『共謀罪の創設法案』を先に審議すべきである」と主張して譲らない。 
 
  この違いの根底にあるのは、与党は「共謀罪の審議はほぼ尽くされた」と認識しているのに対し、「外務省・法務省の虚偽答弁で法案の前提が崩れた」と野党は認識していること。保阪議員は「この認識の差は開くばかり」と述べている。 
 
  この政府側「虚偽答弁」としていま野党側が追及しているのは、米国が国際組織犯罪防止条約の批准(05年11月)に際し、条約に留保をつけていることを政府が知りながら、その事実を隠してきたこと。共謀罪は同条約批准に必要であるという理由で政府は法案を国会に提出した。平岡議員はこの問題について質問主意書を出し、政府の見解を質している。(http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/432813bd0bfc05f0bf3dc310358d3171) 
 
「アメリカ合衆国は,州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があることを国務省の大統領宛批准提案書の中で指摘し、国連越境組織犯罪防止条約によって州レベルでの立法の必要がないようにするため,留保を行った上で条約を批准している。また、アラスカ、オハイオ、バーモントなどの州レベルでは広範な共謀罪処罰は実現していないと承知している」 
 
  これに対し外務省は28日、「州法上の共謀罪の対象とならない犯罪に当たる行為であつても、具体的な事実関係に即して何らの連邦犯罪も成立しない場合は考えにくい」という米政府の見解を示し、「米国の留保は本条約の趣旨、目的に反するものではないと理解している」と回答した。なんら問題にするには当たらない、という主張だ。 
 
  外務省のこの見解に対しては、保阪議員が法律専門家の見解を自身のブログに紹介、その欺瞞性を明らかにしている。 
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/ad1adbeb00ff37b13125e2b137834871)。 
 
「米国弁護士資格も持っている喜田村洋一弁護士に緊急にコメントを寄せていただき、『州法』と『連邦法』の関係をわかりやすく整理していただいた。アメリカ政府が「留保」した論理を忠実になぞれば、日本の刑法原則を尊重しつつ、「国と国をまたぐ犯罪=越境制」を必要とすると条件を付して、日本もまた「留保」すればよいということになる」 
 
という内容だ。 
 
  こうした情勢を踏まえ、共謀罪に反対する市民グループは12月1日、以下のような緊急集会をもつ。 
 
◆共謀罪の審議入り・強行採決を許さない!緊急議面集会 
 ─────────────────────── 
とき:12月1日(金)12:00-13:00 
ところ:衆議院議員面会所 
(地下鉄丸の内線国会前下車) 
◇発言:国会議員、市民団体ほか 
◇共催:共謀罪法案反対NGO・NPO共同アピール/共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会/共謀罪に反対するネットワーク 
◇連絡先 
 アムネスティ・インターナショナル日本:Tel.03-3518-6777 
 反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC):Tel.03-3568-7709 
 日本消費者連盟 Tel.03-5155-4765 
 
◆共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い 
 http://tochoho.jca.apc.org/evx/event20061206.html 
 ─────────────────────── 
とき:12月6日(水)12:40〜14:00 
ところ:衆議院第2議員会館第3会議室 
○東京メトロ有楽町線南北線永田町駅・千代田線丸の内線国会議事 
 堂前駅 
◇発言:会議員、表現者、市民団体ほか 
◇共催 
 共謀罪法案反対NGO・NPO共同アピール/共謀罪の新設に反対する 
 市民と表現者の集い実行委員会/共謀罪に反対するネットワーク 
◇連絡先 
 アムネスティ・インターナショナル日本:Tel.03-3518-6777 
 反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC):Tel.03-3568-7709 
 日本消費者連盟:Tel.03-5155-4765 


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