2006年12月19日01時19分掲載  無料記事
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東ティモール大統領が「旧敵」のインドネシア元政府高官と会談

 【クアラルンプール17日=和田等】かつての支配国インドネシアを公式訪問した東ティモールのシャナナ・グスマン大統領は17日、ジャカルタ国際映画祭で公開されたドキュメンタリー映画「英雄の旅」の上映に際して、東ティモールでの虐殺行為の総指揮者と指弾されたこともあるウィラント元国軍司令官およびアリ・アラタス前外相と面会、「かつての敵」と抱き合うシーンも見られた。ストレーツ・タイムズ紙などによれば、グスマン大統領はそれに先がけて16日にユドヨノ大統領と会談している。 
 
 インドネシアは1975年に東ティモールを侵略、1999年の住民投票の結果、インドネシアからの分離独立が決まるまで、24年間にわたって東ティモールを占領下に置いた。 
 
 ジャカルタ国際映画祭で上映された「英雄の旅」(ヒーローズ・ジャーニー)は、シンガポールを拠点とするグレース・パン氏が製作した作品。このほか東ティモールに関する3つの作品を同映画祭で上映しようとしたが、「英雄の旅」以外の作品の上映は当局によって禁止され、インドネシアでは東ティモール問題が依然、敏感な事項であることを印象付けた。 
 
 独立運動の指導者だったグスマオ大統領がナレーターを務める、独立闘争の軌跡を追った80分のこの作品は、国際的な人権組織アムネスティ・インターナショナル(本部・ロンドン)から人権賞を受賞した。アムネスティは、この作品のインドネシアでの配給にかかる費用として6500ドル(約76万円)を支援する。 
 
 一方、「英雄の旅」についてアラタス前外相は「できるだけ多くのインドネシア人に見せるべき作品」と語り、インドネシア政府が東ティモールの東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟を後押ししていくとの方針を表明した。 


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