2007年01月19日02時51分掲載  無料記事
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中東

ライス長官と女性上院議員が火花 イラク戦争の犠牲めぐり応酬

 ブッシュ米大統領が対イラク新戦略の中で2万1500人の増派を決定したことをめぐり、民主党のバーバラ・ボクサー上院議員(66)=カリフォルニア選出=が、ライス国務長官(52)と、女性同士の激しい火花を散らした。ボクサー議員は、若い米兵士を戦地に送り続ければ犠牲者が出るが、その代償を払うのは、結婚もしておらず、子どものいないライス長官や、孫が小さい自分たちではなく、米軍とその家族たちだと、かみついた。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 12日に米上院外交委員会で開かれた公聴会で、厳しい追及を受けているライス国務長官。06年11月の中間選挙で、12年ぶりに上下両院で多数を握った民主党は、選挙結果をみる限り、国民はイラクからの撤退を求めているとし、撤退の道筋を示さないブッシュ大統領の新戦略を批判している。 
 
 民主党のベテランでメディアにもしばしば登場するボクサー議員は1月11日に、米上院外交委員会の公聴会に出席したライス国務長官に、鋭い質問を浴びせた。 
 
 同議員は、新戦略で若い男女の兵士が、さらにイラクに派遣されることで、犠牲者が増えることに憂慮を表明。「誰が代償を払うのか。自分が代償を払うということではない。わたしの子どもは年齢が高く、孫たちは若過ぎる」と述べた上で、ライス長官に挑発的な言葉を投げかけた。 
 
 「わたしの理解する限り、あなたも肉親という点では、代償を払わない。では誰が代償を払うのか。米軍とその家族たちだ」と迫った。 
 
 ライス長官は未婚で結婚歴もなく、子どももいない。見方によっては、結婚の経験もなく、子どももいない長官に、戦場で子どもを失う親たちの気持ちがわかるのか、批判したとも映る。 
 
 この際のやり取りで、ライス長官は、「米国民の払っている犠牲、特に兵士たちの犠牲を十分に理解している」と反論した。 
 
 公聴会の後、案の定、保守系メディアのFOXニュースやブログなどから、ボクサー議員はライス長官のプライバシーを不適切に取り上げたなどと、批判が相次いだ。13日のニューヨーク・ポストは社説で、ボクサー議員の発言は「ローブロー(反則)だ」と主張した。 
 
 ライス長官は数日前に、自分の好きなメディアは、FOXニュースと漏らしたと報じられているが、FOXなど保守系メディアが、一斉にライス長官の支援に駆けつけた格好だ。 
 
 長官は13日、FOXニュースに出演し、質問の意味に戸惑ったと述べ、子どもがいないからといって犠牲を蒙ることの理解ができないことはないと反論。ホワイトハウスのスノー報道官も「意図的に行なったどうかはわからないが、言語道断」と論評した。同報道官も、元はFOXニュースの解説者だった人物。 
 
 これに対し、ボクサー議員は、ライス長官への個人的な攻撃だとの批判に反論している。同議員は、内戦の真っ只中のイラクに、さらに2万人の若い兵士を派遣することの問題点を指摘しているだけだと主張。その上で、ライス長官たちが行なう決定によって、誰が犠牲を強いられるかを明らかにしたにすぎないとしている。 


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