2007年02月24日15時01分掲載  無料記事
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リバーベンド日記

世界一の嘘つき男、マリキ・イラク首相

  バグダードに住む若いイラク女性、リバーベンドのブログ、昨年12月31日から50日以上たっての更新に無事であったと喜びましたが、内容はたいへんつらいものでした。ここにお届けするのは、前号の続き、同日の内に更新されたものです。人間の誇りと尊厳を踏みにじって恥じない支配者に対するリバーベンドの怒りが伝わってきます。本日(22日)さらにイラク北部のタルアファルの女性が、イラク治安部隊の将兵4人にレイプされたと名乗り出ました(以下のニュースサイト参照、英文)。 
http://www.guardian.co.uk/worldlatest/story/0,,-6432447,00.html マリキ首相は今度はどう対応するつもりでしょうか。(TUP速報) 
 
2007年2月20日 火曜日 
 
マリキの態度… 
 
 思ったとおり、レイプ疑惑はすべて嘘だとアル=マリキは主張している。どうやら彼の部下はその警察官たちにサーブリーン・アル=ジャナービーをレイプしたかと無邪気に尋ね、彼らはやってないと答えたらしい。すべてが明らかになって何と嬉しいこと。 
 
(以下引用の記事原文か下記のサイトの記事中程にあります) 
http://www.guardian.co.uk/worldlatest/story/0,,-6427768,00.html 
 
 「一方で、ヌーリー・アル=マリキ首相は、シーア派が牛耳っている警察の3人の警官たちにレイプされたとスンニの女性が証言した後、スキャンダルを鎮めるために迅速に動いた。 
 
 警官たちの味方をし、証言が信用できないとしてしまおうとする政府の態度は、大衆の一層激しい反発をもたらす恐れがある。 
 
 アル=マリキ政権は、「ある政党」(おそらくスンニの政治家たちの)が、先週から実施しているバグダードの治安作戦における治安部隊の妨害を企てるために、その主張をでっちあげていると非難する声明を出した。その声明が出されたのは、月曜日の夜にアル=マリキがその事件の調査を命じたほんの何時間か後のことだった。 
 
 その20歳の既婚女性は、武装勢力を助けたという理由で、日曜日に西バグダッド近隣のアミールで警察の特殊部隊に拘留された後に暴行されたと言った。彼女は警察の駐屯地に連れて行かれてレイプされたと証言した。 
 
 「診察の結果判明したことは、その女性は全くどんな性的な暴行も受けておらず、また、治安機関が発行した彼女に対する3通のれっきとした逮捕令状があるということである。」と政府は声明を出したが、詳細には触れていない。 
 
 「疑惑が誤っていると立証された後、首相は告発された警官に褒章を与えるように命令した」とあるが、ここでも詳しい説明はされていない。」 
 
 私はマスメディアが憎い。イラク政府が憎い。彼らはこの暴虐非道な行為を、スンニとシーアの泥沼の争いという、まったくちがう話にすりかえてしまっている。サーブリーンがスンニとシーアのどちらなのか、(アル=ジャナービーの部族はスンニ、シーア両方で構成されている)あるいはアラブとクルドのどちらなのか、といったことが問題であるかのように。マリキは、女性をうそつきに仕立て上げただけではなく、彼女が告発した警官に褒章を与えている。まったく言語道断、怒りで爆発しそうだ。 
 
 この状況下で─いえ、どんな状況にしろ─イラク人の女性であれば、間違ってもレイプされたと公に主張したりなどしない。 あまりにも多くの危険が存在するからだ。 社会的に疎外されるというリスクがあり、また、部族間で果てしない復讐の殺し合いが始まるリスクがある。公衆の面前で、この種のことについて話すことは大変なタブーであり、恥ずべきことなので、彼女と夫は彼らの評判にリスクを負うだけでなく、生命の危険を冒すことになるのだ。 
 
 バグダッドの治安活動を弱体化させるためだけに、誰もこのような嘘はつかない。 そんなことは、単にこの1〜2週間に何十人の人が死んだかを数えてみればいい。あるいは、無実の人たちが大量に拘束されていることを書くとか、人々がイラクやアメリカの部隊が盗んで行かないように、再び彼らの貴重品をどのように埋めているかに関して書けばよい。 
 
 サーブリーンが証言してから彼女が訴えた人々にマリキが褒章を与えるまでは14時間たらずだった。14時間で、マリキは彼らの無実を立証しただけでなく、彼らを彼自身の個人的な英雄に仕立て上げた。マリキが彼自身の妻と娘の安全を彼らに委ねることができるのか、私は疑問に思うけど。 
 
 このことは他の拘束された人たちの勇気をくじくことになる、特に自ら名乗り出てイラク軍やアメリカ軍を糾弾する女性たちを。もし彼の傲慢で酷薄なやりかたで、イラクの人たちの頭からこのことを消し去ることができると考えているのなら、マリキは世界中で一番馬鹿な男だ(もちろんブッシュの次にだけど)。彼がこんなやり方を続けていくことによって、彼の支配、彼の政府の下では、自警団で正義を守っていくしか方法がないのだということが、ますます明白になってきている。どうして治安部隊や警察に任せなくちゃならないの?私兵やギャングを雇ってかたを付ければいいじゃない。もし、彼がいくらかでも彼女に正義を見せないのであれば、彼女の部族はいやおうなく..ということになるわ。ジャナーバート(アル=ジャナービー)の部族はなかなか侮りがたい勢力よ。若いイラク女性をレイプすることは、今日のイラクにおいては、少なくともまだとんでもないことなんだというふりだってマーリキーはできるでしょうに。 
 
午後3時39分 リバー 
 
(翻訳:リバーベンドブログ翻訳チーム:ヤスミン植月千春) 
 
(この記事は、TUPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです) 
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