2007年03月09日01時38分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200703090138495

実態は「改憲手続き法」 国民投票法案めぐり永田町で緊急集会 

  【東京8日=加藤宣子】安倍首相が掲げる「憲法改正」の第一段階として「国民投票法案」の審議が国会で進められている。象徴的な憲法記念日「5月3日」までの法案通過を目ざし、8日に衆院憲法調査特別委員会を開催、15日に公聴会、22日に特別委員会採決、23日に本会議採決という日程が報道されたため、強硬なやり方を危惧する市民100人以上が8日、東京・永田町の衆院議員面会所で行われた緊急集会に集まった。集会では、特別委員会に所属する共産党の笠井亮衆院議員と社会党の辻元清美衆院議員から審議の様子について報告し、改憲に反対する複数の団体からアピールを行った。 
 
 
 緊急集会では、主催者の「5・3憲法集会実行委員会」から、衆院憲法調査特別委員会委員長の中山太郎衆議院議員が職権で特別委員会開催を強行した経緯についての簡単な説明があった後、共産党の葛西亮衆院議員と社会党の辻元清美衆院議員から特別委員会での審議の様子についての報告があった。 
 
 笠井議員は、特別委員会が、民主党・社会党などの野党が抗議の欠席をする中で開会されたものの休会となっていると報告。同議員によると、特別委員会委員長の中山太郎議員だけでなく、他の委員の事務所にもたくさんの抗議ファクスなどが届いており、世論の動向が気になって、特別委員会を強行できない状態にあるという。 
 
 辻元議員は、国会や特別委員会も現在、官邸の指示で動いていて、「とても危ない状態にある」と指摘した。委員会でこの法案に反対しているのは、50人の委員のうち、葛西、辻元の2議員だけだが「改憲に反対するたくさんの市民の後ろ盾があって頑張れている」という。 
 
 現在審議されている「国民投票法案」は、投票権者の範囲や発議方法、発議から国民投票までの期間、憲法96条で定められている過半数の定義などをめぐって審議がなされている。しかし、改憲への意欲を語る安倍政権下で、中立的な国民投票を保障する法案ではなく、「改憲手続き法」として審議がなされているのが実態だ。 
 
 国民投票審議に関して、長く平和運動に関わってきた「ふぇみん婦人民主クラブ」の山下治子さんは「マスメディアが取り上げるのは、政治日程ばかりで、法案の中味についての議論がほとんどない。どういう法案なのか、そこが大事なのに」と指摘する。 
 
 8日午後の特別委員会は開かれなかった。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。