2007年03月20日11時30分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200703201130012

セックスの仕方教えたと保護者反発 中学校の性教育授業めぐり

 米イリノイ州の公立学校で、保健体育の教師が、性教育の一環で教材として使用した内容に、保護者が反発し、教師の懲戒もしくは解雇処分を求める声が上がっている。学校側は保護者に手紙を送り、謝罪するとともに、この授業を中止した。教師は、エイズ/HIVの感染を防ぐ知識を生徒に与えるつもりだったが、使った教材の内容が、必ずしもこの趣旨に合わなかったために、騒ぎになった。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 米紙シカゴ・トリビューンなどによると、シカゴ郊外のクック郡ソーントンにあるウォルコット小中学校で、中学3年の保健体育の授業を受け持っていたスコット・グロフ教師(27)は、エイズなど感染症防止のために、英国の性教育に関するサイトから、資料をコピーし、生徒に配った。 
 
 コピーは約4ページだったが、グロフ教師がコピーしたのは、「性に関する一般的な質問」と呼ばれる個所。ここには、性に関する「Q&A」が書かれているところで、「どうやってセックスをするのか」「人々は何回セックスをするのか」など、かなりあからさまな質問が並んでいる。当然、回答もセックスの仕方などを説明する内容になっている。 
 
 グロフ教師は、このコピーを約40人の生徒が出席した授業で配り、生徒に声を上げて質問を読ませた。教師は、人間の性に関するカリキュラムの一環と説明した。しかし、女子生徒に中には、不快感から「なぜこんなことを学ぶ必要があるのか」と質問するものもいたが、教師は「落ち着け、落ち着け」と答えたという。 
 
 3月9日までに保護者から学校に抗議が殺到し、学校側は直ちに保護者に対し、中学3年生が学ぶ内容しては適切でないと陳謝した。グロフ教師も9日に生徒に陳謝し、保護者にわびる手紙を送った。教師は手紙の中で、「わたしは生徒に婚前交渉を勧めるようなことはしていない。ただ今回の資料によって生じた問題に関しては陳謝する」と述べている。 
 しかし、保護者の怒りは収まらない。性に関する一般的な知識を学校側が教えるのは容認できても、今回のように「セックスをどうやってするのか」という点にまで踏み込んだこといは強く反発している。一部の保護者は、教師を懲戒もしくは解雇せよと強硬意見を吐いている。 
 
 ある母親は、13歳の娘が、とんでもない質問を読まされた憤慨する。「どれだけ娘が恥ずかしい思いをしたことか。まったく一線を超えている」と批判する。別の母親は、「保護者に対する侮辱だ。手紙には後悔の念がみられない」と憤っている。 
 
 学校側の話では、グロフ教師は特に問題のある教師ではないとし、熱心さのあまり判断ミスを犯したとの立場を取っている。 
 
 イリノイ州では、教育の一環として、エイズや避妊や性行動の抑制などについて学校で教えることが行なわれている。しかし、同州の性教育担当者は、今回使われた資料は、中学3年生に対しては不適切だったとし、こうした内容は、親に事前の相談しない限り、教えられるものではないとしている。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。