2007年04月23日23時08分掲載  無料記事
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緊張走る辺野古の海 普天間基地移設で防衛施設局が事前調査を強行か

  米軍普天間基地の移設先となっている沖縄・辺野古の海が緊張に包まれている。22日の参議院沖縄選挙区・補欠選挙が終わるのを待って、那覇防衛施設局が週明け早々にも海域調査に着手するとの報道が流れたためだ。辺野古の座り込みテント村には23日午前4時から反対派のメンバーが集合、待機した。現地入りしたメンバーの一人は、「23日9:40。現在辺野古は大雨と雷。現況調査への怒りなのでしょうか。朝の段階で防衛施設局の車10台が確認されています。こちらは船とカヌー隊が待機しています。雷で海に出るのは危険なので、今は何も行なわれていない状態です」と連絡してきた。(大野和興) 
 
  4月21日付けの『琉球新報』は次のように報じた。 
 
 普天間代替、週明明けから事前調査 
 米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)で那覇防衛施設局は、22日に参院沖縄選挙区・補欠選挙が終わるのを待って、週明け早々にも海域調査に着手する。海域使用についての県の同意を得る前の段階から、ダイバーによるサンゴの目視調査など海に直接手を付けない作業に取り掛かる。施設局は 反対派の阻止行動に対処するための警備について県警と調整している。 
 
  施設局が沖縄県に同意を求めているのは、海域調査に欠かせない「公共用財産使用協議書」。沖縄県としては、事前調査は手続きとして拒否できない、として同意する方向だ。 
 
  施設局が沖縄県に対し海域使用について申請したのは3月末。施設局は申請から1ヶ月になる4月26日には県の同意がほしいとしている。 
 
  施設局は県の同意の前にも調査の準備作業として、ダイバーによる調査ポイントの確認作業に着手。同意をえ次第、サンゴ調査のための着床板の設置、ジュゴンやウミガメなど 大型の海生生物の動向を調べるためのカメラや音波探知機などを設置する予定だ。 
 
  実際の調査実施はサンゴの産卵時期となる6月初めになる。 
 
  こうした動きに対し、平和市民連絡会など基地移設に反対する住民は「海の底に潜ってでも止める」と語っている。 
 
  事実、政府が2004年4月19日から強行着工に踏み切ったリーフ上基地建設案(1996年に発表されたリーフを埋め立てて基地建設を行う計画)は、沖縄だけでなく全国各地から駆けつけた人々による体を張った運動で阻止され、2005年10月28日にはリーフ上基地建設案は「白紙」に追い込まれた経過がある。 
 
  リーフ上基地建設案の白紙を受けて日米政府が地元に提示したのがV字型滑走路基地建設案といわれるものだ。 
 
  このV字形滑走路の新移設案について、島袋吉和名護市長と額賀福志郎防衛庁長官(当時)が基本合意してから 4月7日で1年が経過した。政府はこの案を基本に普天間移設を進めようとしているが、仲井真弘多知事は現行V字案は認められないとして修正を求めている。 
 
  政府は名護市との基本合意を携えて米側と協議し、2006年5月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、1800メートルの2本のV字滑走路を持つ政府移設案で日米政府は合意した。だが、名護市は1500メートルを求めており、政府と地元の考え方はずれたままの状態が続いている。 
 
  また、この事前調査は環境面からも危惧が出されている。沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団は4月18日午後、東京で防衛施設庁と環境省の担当者 に事前調査について質した後記者会見し、「現況調査は環境アセス法を形骸(けいがい)化させるものだ」と批判。「事前調査で自然や環境が破壊されるおそれがある」ことも指摘した。 


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