2007年04月26日22時41分掲載  無料記事
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まっとうな公約掲げ渋谷区長選で「善戦」 宅八郎さん敗戦の弁

 22日投票の渋谷区長選挙に出馬、落選した宅八郎さんは供託金没収の惨敗に終わった。選挙から4日が過ぎ、日常に戻った宅さんが、「電撃出馬」の真相や渋谷区政に対する憂慮などすべて語った。宅さんは政治への再チャレンジを改めて口にした。4年後の渋谷区長選に再出馬するのか、または参議院など国政選挙に挑戦するのか。今後の宅さんの動向が注目される。(及川健二) 
 
▼渋谷を「萌えタウン」にしたかった 
 
―出馬依頼があったのはいつですか。 
 「市民団体『オンブズマン行革110番』から4月10日に依頼を受けました。予定した候補が立候補をとりやめ、切羽詰まった状態で候補を探していると言っていました。前向きに受けるという方向で答え、12日の夜に出馬の意志を伝えました。13日に選挙ポスターの写真を撮り、団体の代表から渋谷区の状況についてレクチャーを受けました」 
 
 「告示日以降はホームページの更新が禁止されているので、急きょ、選挙用サイトをつくりました。担当者が徹夜で仕上げたサイトは、他候補のものと比べて、『すごく分かりやすい』と多くの人から言っていただけるほど上出来でした」 
 
 「記者会見をやる余裕がなかったので、A4・1枚の紙に出馬の意思とホームページのアドレスを記載し、一斉にプレス・リリースしました。そして、告示日の前日・14日の午前1時ごろにホームページ上で出馬宣言の文書を掲載しました。記者会見を開かずに出馬表明をホームページで行った候補は、日本ではボクが初めてではないでしょうか。ヒラリー・クリントン上院議員も、大統領選挙への出馬をホームページで表明したように、アメリカの選挙では一般化しています」 
 
―あえて渋谷区長を選んだ理由は何ですか。 
 「ボクは渋谷で長いこと暮らしました。いわば、ボクを育ててくれた街です。『渋谷系』といわれた時代か懐かしい。いまの渋谷はパッとしない。あのころのきらめきを取り戻したくて出馬しました。いまでは、秋葉原の方がすっかり元気なので、アキバに負けない『萌えタウン』に渋谷をすることを選挙で強調しました。メイド喫茶をもっとたくさんつくって、おしゃれな『渋谷系おたく』の街をつくりたかったんです」 
 
▼大規模開発に巨額の税金を投じる現区政に反発 
 
―区職員の意識改革も主張しました。 
 「渋谷区役所での区民への対応を『お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様』と、つくすようにすることが大事です。区の職員はそういった気持ちをもって欲しいですね。 
 
―再選された桑原敏武・現区長に批判的でした。 
 「桑原さんは就任してわずか4年で2つの巨大ハコモノの建設を強行しました。1つは渋谷区東2丁目に建てられた温室植物園。総事業費は約9億2000万円、年間運営費は9800万円。もう1つは渋谷区東1丁目の区民利用施設『リフレッシュ氷川』。29億円の税金が投入され、年間運営費は7267万円です。『途方もない税金のムダづかい』としてTBSの情報番組が取り上げました」 
 
 「建設に反対した周辺住民は怒り心頭、区民にとって大損害です。さらに巨大なハコモノを建設する計画が着々と進められています。場所は渋谷区宇田川町の旧大和田小学校の跡地。約50000平方メートルの敷地に、地上13階(地下3階)のオフィス棟と、地上1階(地下3階)のホール棟を建てるのだといいます。建設に投入される血税は120億円で、区民1人あたり6万円。維持費は毎年5億円近くかかるといわれています。一度建ってしまえば、金食い虫になり、血税を毎年タップリ吸う」 
 
 「以上の巨大開発で大手ゼネコンだけがボロ儲けし、ウハウハいっています。現区政のひどいやり方に反発を覚え、このまま渋谷区を放っておくことはできないと思い、出馬しました」 
 
▼「再挑戦の可能性もある」 
 
―選挙で重点的に訴えたことは何でしたか。 
 「税金の使い方を、大型開発ではなく、暮らし・福祉に優先的に使うことを公約しました。世界一行政サービスが充実した『区民くらし満足度世界一』の街をつくれると訴えました。自治体はどこも慢性的な赤字を抱えているのに、渋谷区は常に黒字です。予算を大規模開発でなく、暮らし・福祉に回しさえすれば、『区民暮らし満足度世界一』は実現可能なのです。 
 
 「あと、現職区長の退職金1億円の廃止・返上や、東京23区ではダントツに高い区職員給与の削減を公約しました。渋谷区は同規模の人口の調布市より2倍も職員が多いので、余剰職員のリストラも訴えました。役所をスリムにすれば、毎年90億円の節約になります」 
 
―宅さんのマニフェストを読み、演説も聴いた限りでは、「奇抜なこと」をいうのだと思っていました。しかし、真っ当な主張をされたことを意外に思いました。有権者には浸透しなかったようですが。 
 
 「ボクが運動したのは6日間だけでした。運動する時間が決定的に短かった。他の候補は数ヶ月前から事前運動を毎日して、政策や知名度を有権者に浸透させていました。6日間では無理でした。それでも、5605票(8.5%)はけっこうな数字です。 
 
 「選挙戦最終日にボクの応援にかけつけてくれた建築家の黒川紀章さんが、先の都知事選の際に渋谷区(同区の投票率は51.55%)で、獲得したのは3349票(3.8%)。同じく発明王のドクター・中松さんが渋谷区で獲得したのは1675票(1.9%)です。得票率ではボクは黒川さんの2.2倍で、票数はボクの方が2256票多い。選挙期間中はマスコミに連日出ていた黒川さんと、ドクター・中松という知名度抜群のお2人を票数・得票率で大きく上回ったことは、多くのハンディがありながらボクが善戦した証拠です」 
 
―政治に再挑戦する考えはありますか。 
 「機会が与えられれば、地方・国政を問わず、再チャレンジするのもいいかなと思っています。今度は十分に準備してから臨みたいですね」 


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