2007年05月05日00時40分掲載  無料記事
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サルコジ氏優勢で決選投票へ ロワイヤル候補は強気の姿勢崩さず

 フランス大統領選挙は、与党「国民運動連合」候補のニコラ・サルコジ氏(52)が優勢のまま5月6日に決選投票が行なわれる。対立候補のセゴレーヌ・ロワイヤル下院議員(53)は5月2日に行なわれたサルコジ氏との公開討論で、同氏を厳しく攻め立てる戦法を取ったが、形勢を逆転するまでの得点を挙げられなかったようだ。しかし、一回目の投票で3位につけた中道政党候補の票がロワイヤル氏に流れれば、予想外の展開となる可能性もある。(及川健二) 
 
 5月4日に世論調査会社イフォップが有権者853人を対象に行った電話調査では、サルコジ氏に投票すると答えた人が53%だったのに対し、対戦相手のセゴレーヌ・ロワイヤル下院議員(53)は47%だった。 
 
 「TNS−Sofres」社が同日に有権者1000人を対象に行った電話調査では、サルコジ支持が54・5%なのに対して、ロワイヤル支持は45・5%にとどまった。 
5月2日に行われた両候補の公開討論は日刊紙「ルモンド」によれば、約2000万人のフランス人が討論を視聴したという。4月22日の時点で有権者数は4447万2834人に上っている。 
 
 討論直後のインターネット上の調査では、攻めに出たロワイヤル氏が勝利したと回答する人が多かったが、サルコジ氏の優位が揺らぐまでには至らなかった。 
 
 ロワイヤル氏は4日の集会で「世論調査に騙されてはいけない。私は必ず勝つ」と強気の姿勢を崩していない。日本の新聞・通信社はすべて「サルコジ、優勢」と報道する。しかし、同氏当選には不確定な要素もいくつかある。 
 
 4月22日に行われたフランス大統領選挙の第1回投票で682万0119票(18.57%)を獲得し3位につけた中道政党「フランス民主連合」(UDF)のフランソワ・バイルー党首(55)の票の行方が勝敗を決するともいわれている。 
 
 「どちらの候補も支持をしない」と明言するバイルー氏とロワイヤル氏は4月28日午前、パリ市内で公開討論を行なった。討論はロワイヤル陣営が呼びかけたもので、バイルー氏はサルコジ氏にもサシでの討論を申し出たが、サルコジ氏は拒否した。 
 
 1時間50分にわたるその模様はテレビ・ラジオを通じてフランス全土に同時中継された。日刊紙の「ルモンド」は討論の内容について「社会党の幹部は皆、満足している」と報じた。 
 
 同紙が討論後にホームページ上で行った世論調査では、「公開討論で利益を得たのは、サルコジ氏かロワイヤル氏のどちらか」という設問に対し、7割以上の回答者が「ロワイヤル氏が得をした」と答えた。サルコジ氏がバイルー支持層を十分にとりこめているとはいえない。同氏支持者の多くがロワイヤル氏に投票する場合、サルコジ氏の当選は危うい。 
 
 また、サルコジ人気の原動力となっている極右支持層の動向も左右するだろう。極右政党「国民戦線」のジャンマリー・ルペン党首(78)は6日に「棄権する」ことを支持者に呼びかけている。カリスマ低下がささやかれている同氏だが、投票所に行かない極右支持者が続出する場合、サルコジ氏の票は減るとみられる。 
 
(各候補の選挙ポスター) 
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フランソワ・バイルー氏の選挙ポスター 
 
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セゴレーヌ・ロワイヤル候補の選挙ポスター 
 
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ニコラ・サルコジ候補の選挙ポスター 


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