2007年05月21日02時37分掲載  無料記事
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外相への転出で「党の顔」探しに苦悩 ロワイヤル氏も候補

 6月10日と17日に行われるフランス下院議会議員選挙でニコラ・サルコジ新大統領の与党「国民運動連合」の圧勝が各種世論調査で予想される中、野党第一党の社会党は戦略の再構築を迫られている。国民的人気が高く党の顔の1人であったベルナール・クシュネル氏をニコラ・サルコジ新大統領が外相に抜擢された。このため党の前面に立てる人気政治家が存在せず、大統領選でサルコジ氏に破れたセゴレーヌ・ロワイヤル氏をなお党の顔とすべきか同党幹部は悩んでいる。(及川健二) 
 
 フランスの大手世論会社イプソスが有権者948人を対象に11日、12日と電話による世論調査を行った。それによれば、「来月の下院議員選挙で、社会党を誰が率いてほしいか」という設問に対して、53%の社会党支持者がセゴレーヌ・ロワイヤル氏と答え、2位のドミニク・ストラス・カーン元財務相の27%を大きく上回った。 
 
 同調査は下院議員選挙に関するもので、第1回投票で「国民運動連合」の候補に入れると答えた有権者は40%で、与党入りを目指す右派政党「フランスのための運動」が2%だった。 
 
これに対して、社会党・左翼急進党・共和国市民運動連合の共同候補に投票すると答えた有権者は28%、フランス共産党は3.5%、緑の党は4%と、与党側が左派政党の合計を6.5%上回った。 
 
中道新党「民主運動」に投票すると回答した有権者は10%だった。決選投票で左派に入れると答えた人は44%で、与党に入れると答えた人(56%)を12%も下回った。 
 
 社会党の次期指導者に関する設問では、一般の回答ではカーン氏が指導者に望ましいと答えた人が33%で、ロワイヤル氏の32%を上回った。ただ、社会党支持者に限れば、ロワイヤル人気は未だに根強い。ロワイヤル氏は下院議員を引退すると表明したものの、社会党の指導者として党を率いることにはいまも意欲的だ。社会党の幹部ではロワイヤル氏に今後も党の看板として活動してもらうべきか意見が分かれている。 
 
 与党が順調に選挙の準備を進める中、社会党の苦悩はしばらく続きそうだ。 


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