2007年06月29日13時23分掲載  無料記事
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サウジアラビアでは銀行本店でも男女分離に 女性の権利が一歩後退

 公共の場所で近親者以外の男女の同席、会話などの接触が禁じられるサウジアラビア。その中でも銀行の本店だけは、例外的に男女行員が共に働くことのできる聖域であった。ただここでも男女分離の指示が出された。その結果、重要な会議にも女性行員は出席できなくなるなどと動揺と波紋が広がっている。26日付のアラブ各紙が報じた。(齊藤力二朗) 
 
 サウジアラビア政府はこのほど、銀行の本店でも男女行員を分離するよう通達を出し、この保守的な王国の女性の権利がまた後退した。 
 
 同国では、銀行は最も女性の進出が進んでいる職場である。支店では男女行員は分離されていたが、本店では男女一緒に執務してきた。 
 
 しかし、新規定によると、本店の女性行員は、今後男性行員から分離された別階で執務する必要があり、また女性専用のエレベーター、入り口、行内喫茶室の利用が義務付けられる。 
 
 匿名を希望するサウジアラビアの銀行の女性幹部はこう嘆く。「失望している。今後仕事はナンセンスな手順で進められる。重要な会議にも女性は出席できなくなり、女性の職業的な将来は暗い。銀行業界には他の業種よりも女性の就職機会が多いから銀行で働くための高等教育を受けてきたのに...」 
 
 サウジアラビアにおけるイスラム法と伝統は、近親者以外の男女の混在(同席、会話などの接触)や、女性の車の運転、地方評議会への投票を禁じている。サウジアラビア政府高官の一部は、民間セクターの9割を外国人労働者が占めるこの国の労働市場への女性進出を支持するが、西側外交官は、「強力な宗教派勢力があらゆる改革に激しく抵抗する」と語る。 
 
 サウジアラビアの銀行には6万人の職員が働くが、そのうちサウジ女性行員は3000人に上る。 
 
http://www.middle-east-online.com/?id=49562 写真はサウジアラビアの女性たち 


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