2007年07月17日11時51分掲載  無料記事
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タイでアルコール飲料の規制強まる 広告も禁止へ

 【バンコク17日=丈治利夫】大らかで自由な雰囲気のあるタイだが、近年、アルコール飲料に対する規制が強まるばかりである。特に今年3月に閣議承認された「アルコール飲料管理法案」は大きな波紋を呼んでいる。この法案にはアルコール販売の規制ばかりか、アルコール飲料の広告禁止も盛り込まれているからだ。 
 
 タイの地酒やワインのメーカーは「政府の地酒振興策を受け、フルーツワインなどの開発を進めてきた。今になって広告が禁止されれば廃業するしかない」と、今年5月に大規模な抗議集会をバンコクで行っている。 
 
 市民の間では、どこまでをアルコール飲料の広告と見なすのかの基準が曖昧との声も多く聞かれる。ビールメーカーが提供するロゴ入りのグラスや店頭の看板、従業員のユニホームや配送に使われるビール会社の車も広告として規制されるとなれば社会的な混乱も予想される。 
 
 また、広告の規制が、果たしてどれほどアルコールの販売、摂取を抑えることへとつながるのかも疑問がある。なぜなら、タイではすでにアルコール飲料を販売出来る時間帯が法律で規制されているものの、飲酒量の抑制に大きく結びついているとは到底考えられないからだ。 
 
 販売時間や広告の規制をいくら強めても、飲酒自体を規制できる訳ではない。飲酒の自由という権利も国民にはある。この法案がタイ国民にどう受け入れられるのか注目される。 
 
 現在、タイでは法律により午前11時から午後2時、そして午後5時から深夜12時までの時間帯のみアルコール類の販売、提供ができる。この時間外にアルコール類の販売、提供をした場合は処罰の対象となる。 


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