2007年08月29日23時44分掲載  無料記事
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ビルマの事態改善に日本政府の軍政への要請求める 超党派の民主化議連が声明

  超党派の国会議員からなる「ミャンマーの民主化を支援する議員連盟」(会長・大島理森(衆議院議員)は29日、燃料価格の大幅値上げに抗議してビルマ(ミャンマー)各地で始まった平和的なデモの参加者を同国政府が多数逮捕・拘束していることに強い懸念を表明する声明を発表した。欧米諸国の政府は相次ぎ軍政を批判しているが、日本政府は未だ沈黙を保ったまま。声明は、日本政府が事態の早期改善と不当逮捕・拘束者の即時釈放をビルマ政府に強く求めるよう要請している。在日ビルマ人28団体も30日、同様の要請書を外務省に提出する。(ベリタ通信) 
 
 ミャンマーの民主化を支援する議員連盟の声明は以下の通り。 
 
 声 明 
 ─ミャンマー(ビルマ)市民の平和的抗議行動に対するミャン マー(ビルマ)政府の対応について─ 
 
 ミャンマーの民主化を支援する議員連盟は、2007年8月21日以降、ミャンマー(ビルマ)政府による燃料価格の大幅な値上げに端を発した市民による平和的抗議行動に対し、市民を弾圧し、逮捕拘束措置をとっているビルマ政府の対応に対し強い懸念を表明する。 
 
 1. 平和的抗議行動を行った国民を逮捕・拘束した行為は、我々が求める民主化の方向と明らかに逆行するものである。我々民主化議連は、ミャンマー(ビルマ)政府に対して市民の不当逮捕拘束を解き、速やかな身柄の釈放を求めるものである。 
 
 2. 日本は、アジア地域の平和と発展の観点から、アジアの人々と協力しアジアの民主主義の発展に貢献してきた。民主化議連として、ミャンマー(ビルマ)政府による今回の行動に関し、日本政府に対して、事態の改善と拘束した人々への即時釈放をミャンマー(ビルマ)政府に求めるよう強く要請する。 
 
 我々民主化議連は、ミャンマー(ビルマ)政府の非民主的な政治を一日も早く中止させるためにASEAN議会間ミャンマーコーカス(The ASEAN Inter-Parliamentary Myanmar Caucus (AIPMC))と連携・連帯する必要があることを2007年5月の国際会議(東京)で確認した。 
 
 我々はミャンマー(ビルマ)政府の経済政策を原因とする市民生活の苦境に対して平和的方法によって事態の改善を訴えた市民の正当な要求を、力をもって抑圧すべきでないと考える。 
 
 我々は、ミャンマーの民主化を求める世界中の人々及び国会議員と連帯し、この声明を表明する。 
 
 2007年8月29日 
 
 ミャンマーの民主化を支援する議員連盟 
 会 長  大島 理森(衆議院議員) 
   事務局長  末松 義規(衆議院議員) 
 
 ビルマ国内の動きについてはBurmaInfo(ビルマ情報ネットワーク)が下記のような詳しい情報を流している。 
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デモが各地に波及 軍政、大衆団体や暴徒を使って参加者に暴行 
 
2007年8月29日 
BurmaInfo 
 
(1)2007年8月28日の情勢 
(2)8月27日の情勢 
(3)8月26日の情勢 
(4)オンタン氏による米国大使館前単身抗議の模様(8月22日) 
(5)ティンチョー氏の逮捕時の映像(8月25日) 
(6)8月25日のデモの写真 
(7)ビルマ政治囚支援協会 25日までの被逮捕者は100人と発表 
 
 写真・動画などは以下のページをご覧ください。 
 http://www.burmainfo.org/politics/88GSG_200708.html 
 
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(1)8月28日の情勢 
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 ヤンゴン市内の情勢。午後1時30分、NLD党員ら約20人がカマユッ区のフレーダン市場前からインセイン通りを行進し、別々に行進を開始していた約50人のデモ隊と合流した。強制労働問題などで活躍する活動家スースーヌウェ氏らが中心となった行動だった。軍政の大衆団体である連邦団結発展協会(USDA)が3台のトラックに分乗して待ちかまえ、参加者に暴力を振るい、持ち物を奪った。通行人はデモ隊に歓声を送り、USDAに罵声を浴びせた。 
 参加者と見物人を合わせて少なくとも10人程度がトラックに引きずり込まれて連行された。スースーヌウェ氏も暴行を受けた。周りの支援でかろうじて逮捕を免れたものの、意識を失って病院に運び込まれた。シュエダゴン・パゴダ付近では、パゴダに供え物をしようとしていたNLD党員二人が警察とUSDA団員に逮捕された。 
 
 ヤンゴン管区フラインターヤー郡では、国立技術専門学校の学生がキャンパス内をデモした。逮捕者はなし。同管区タムウェ郡のタムウェ市場では午後2時頃、5人がスローガンを叫び、燃料価格と物価の上昇に抗議した。警察とUSDAが到着したが、参加者は全員逃げることに成功した。 
 
 マンダレー管区メイックティーラ郡ではNLD党員約20人が燃料価格の値上げに抗議するデモを行った。逮捕者はなし。 
 
 ヤカイン(ラカイン)州の中心都市シットウェでは午後2時、約200〜300人の仏教僧侶(見習僧が多い模様)がパゴダの前から出発して市内を歩いた。30分後には参加者は800人にふくれあがり、燃料価格の値下げと政治囚全員の釈放を求めるスローガンを連呼した。デモは数時間続いた。僧侶が目立つ形で参加したのは今回が初めて。国軍が到着した時点で参加者はちりぢりになって逃げた。逮捕者はなし。 
 
 BBCによれば、主要都市の要所には治安部隊が配備されており、更なるデモを起こすのは難しい状況にある。またシャン州からの情報によれば当地の軍政司令官は24日、パラウン人の居住地域を管理するパラウン人勢力(軍政との休戦協定済)に対して、地域住民がデモなどを行わないよう注意せよと命令した。 
 
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▽フレーダン交差点でのデモと、軍政による弾圧の模様 
 http://www.youtube.com/watch?v=CxyjWxaF140 
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(2)8月27日の情勢 
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 ヤンゴンでは、活動家の一人チョーサン氏(三色学生青年戦線=TCSYF)が逮捕された。88世代学生グループの指導者で警察が行方を追っているテイチュエ氏の潜伏先が捜索されたが、本人は一足先に脱出して難を逃れた。ヤンゴンの青年僧連合(YMU)は高僧と青年僧に軍政に手紙を送るとともに、事態の収拾に動くよう求める声明を発表した。 
 
 バゴー管区の中心都市バゴー(ペグー)で50人規模のデモ。朝9時30分に開始したデモは、ペグー、カワ、ワー各郡のNLD支部と大学生が2列縦隊で市内中心部を歩いた。沿道では1000人余りがデモ隊を歓迎し、横歩きをした。軍政の大衆団体である連邦団結発展協会(USDA)がデモ隊を終始監視し、写真撮影や投石などの挑発に出た。参加者はこれに取り合わなかったが、多くの通行人が協会員に抗議した。 
 10時30分、デモ隊を協会員と警察が包囲し、郡当局事務所に連行したが、見物人は事務所の前に集まり、デモ隊の釈放を要求して解散命令を拒否した。最終的にデモ隊が釈放されると、人々は歓喜の声で出迎えた。 
 
 連日デモのあったマグウェ管区では、同管区NLD青年部の会合を当局が実力で阻止した。各郡から派遣された代表者20人の宿舎になった家をUSDAと警官200人で包囲した上で全員を拘束し、自宅へ送還した。この他の参加者も会議への参加を阻止され、自宅に送還された。 
 
 マンダレーは、過去にも軍政の布施を拒否する仏教僧侶の大規模な抗議行動が起こったことで知られるが、軍政は高僧に接触し、青年僧を抗議行動に参加させないよう要請した。各寺院の前には治安部隊が配置されている。 
 
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(3)8月26日の情勢 
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 マグウェ管区イエナンチャウンでは午前中にNLD支部約20人がデモを行った。当局は治安部隊を出動させると警告したが、介入は行わなかった。 
 
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(4)オンタン氏による米国大使館前単身抗議の模様(8月22日) 
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 オンタン氏(61)がヤンゴンの米国大使館前でスローガンを掲げて単身抗議行動を行い(写真1参照)、警官と私服の公安に逮捕された。氏はこれまで何度も単身でのデモや少人数での行動を組織してきた。 
 
 動画:http://www.youtube.com/watch?v=fLMMZoGzIgE 
 
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(5)ティンチョー氏の逮捕時の映像(8月25日) 
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 物価値上げに抗議してこれまでも果敢に抗議行動に取り組んできたティンチョー氏(ミャンマー発展委員会=MDCのリーダー)は25日にテインジー市場前で抗議行動を開始した直後、軍政によって逮捕されました。以下は逮捕時の映像です。 
 
 動画:http://www.youtube.com/watch?v=OQy1tpq6fDY 
 
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(6)8月25日のデモの写真 
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 マンダレー管区モゴックで25日に行われたデモの写真(Mogok Mediaより) 
 
 http://www.burmainfo.org/image/200708/mogok_20070825_a.jpg 
 http://www.burmainfo.org/image/200708/mogok_20070825_b.jpg 
 
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(7)ビルマ政治囚支援協会 25日までの被逮捕者は100人と発表 
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 ビルマ政治囚支援協会(AAPPB)は27日、今回のデモによる被逮捕者の一覧を発表した。軍政の公式発表の数字である「65人」を退け、実際の被逮捕者は100人であることを明らかにした。 
 
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 日付 |被逮捕者数   |内訳 
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8月21日|19人(ヤンゴン)|喫茶店でのビラ配布(5人)、 
    |        |自宅での逮捕(14人) 
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8月22日|7人(ヤンゴン)|デモ参加者(7人) 
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8月23日|32人(ヤンゴン)|バハン区でのデモ(21人)、米国大使館前での 
    |        |単身抗議行動(1人)、場所不明(7人)、 
    |        |ダゴン区(2人)、自宅(1人) 
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8月24日|37人(ヤンゴン)     |エイヤワディー管区パセインでの単身 
    |1人(エイヤワディー管区)|抗議行動(1人)、自宅(1人、ヤン 
    |             |ゴン)、ヤンゴン市庁舎前抗議行動 
    |             |(17人)、ヤンゴン・セントラル 
    |             |ホテル付近の抗議行動(19人) 
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8月25日|4人(ヤンゴン)     |自宅(2人)、ヤンゴン中心部での 
    |             |抗議行動(2人) 
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配布元: BurmaInfo(ビルマ情報ネットワーク) 
    http://www.burmainfo.org 


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