2007年11月27日19時12分掲載  無料記事
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「強制連行」のインド系マレーシア人が首都でデモ 英に補償求め、警察部隊と衝突

 【クアラルンプール27日=和田等】英国植民地時代のマラヤ(現マレーシア)に連行され強制的に働かされたインド人に対する補償を英国政府に求める運動を起こした非政府組織、ヒンズー権利行動隊(HINDRAF)が25日、在クアラルンプール英国高等弁務官事務所(大使館に相当)の外でクアラルンプールで集会・デモを決行、5000人(警察発表)〜1万人(主催者発表および外国メディアの推定)が集まった。これに対して警察は、非合法集会であるとの理由で解散を命じた。集会・デモ参加者が自主的な解散を拒んだため、警察は催涙弾を発射、放水車を使って実力行使に出たうえ、デモ参加者240人以上を逮捕した。デモ参加者の中には警察官や警察車両を攻撃、火焔瓶を投げて車の窓を割るなどの行動で反撃する者も出、双方に負傷者が出たもようだ。 
 
 地元各紙によれば、この結果、警察が車両の進入を禁止するブロックを築いたこともあり、集会・デモが実施されたクアラルンプール市内の中心街は一時、大荒れとなった。 
 
 集会・デモの主催者は当初、インド系マレーシア人への28兆リンギ(900兆円弱)の補償支払い要求に対するエリザベス女王の仲裁を求める10万人の署名入りの請願書を在クアラルンプール英国高等弁務官事務所に提出する予定だったが、警察との衝突による混乱で提出できないままで終わった。 
 
 このデモに関してアブドラ首相兼国内治安相は、「状況が暴力的になる可能性があったので、公共治安と安全を維持するため警察は非合法集会を解散させるために強硬な措置をとらざるを得なかった」と強調した。 
 
 なお、この非合法集会に先がけて警察は23日、HINDRAFの主要メンバーであるウタヤクマール、ウェイタモーシー、ガネパティ・ラオの3弁護士を、11月16日におこなわれた集会で憎悪を煽るような扇動的発言をおこなったとして、扇動取締法に基づいて逮捕し起訴していた。3弁護士は保釈金を納めて保釈されている。 
 
 起訴された3人のひとり、ウェイタムーシー弁護士は8月に英国政府に英国植民地時代にインド人がマレーシアに連行され強制的に働かされたことに対して在マレーシア・インド人1人につき100万米ドル(1億1000万円弱)、合計4兆米ドル(440兆円弱)の賠償支払いを求める訴えをロンドン王立法廷に起こしている。 
 
 クアラルンプールでは11月10日にも野党が支援する「クリーンで公正な選挙を求める連合」が1万人規模の無許可集会とデモを実施したことから、警察が催涙弾と放水車を使って集会・デモを解散させる措置をとったばかりだった。 
 
 
 離任したばかりのティエリー・ロンメル前駐マレーシア欧州連合大使は10日のデモ実施後、マレーシア政府が集会やデモの実施を認めず、デモ参加者に対して警察が催涙ガスと放水車を用いて解散させたことについて、マレーシアは実質的に非常事態下に置かれていると発言。ロンメル前大使は、マレーシア政府が国民に規制を課し、選挙のやり方について政府は国民の声に耳を傾けていないとの思いを国民が抱いたからこそ、最終的に非合法集会やデモという形でその思いの発露を見いだすほかなかったのだとも発言し、マレーシアの政府指導者から「内政干渉」との猛反発を受ける事態にいたっていた。 


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