2007年12月31日00時34分掲載  無料記事
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金もうけ重視の風潮広がるタイ・ピーピー島

  【バンコク30日=中須正】2004年12月26日に起きたスマトラ沖大地震から3年が過ぎた。近隣諸国はその後の津波による大きな被害を受けた。アンダマン海に浮かぶタイの観光地ピーピー島では、復興が進んでいるものの、地道なビジネスを続ける階層が減り、即席の現金収入を求めるものたちが増えるなど、ビジネス環境に変化が生じているという。 
 
 ピーピー島は津波被害の前には、ハリウッド映画の舞台にもなり、観光地としてさらに人気を集めていた。ピーピー島で日本料理店を営んでたジュエリー氏は1年前島を離れた。 
 
 店のレンタル料が津波前では、4500バーツだったのが、値段があがり最近では80000バーツまでになったからだ。これではとてもやっていけない。これはバーなどを経営し、短期的な視野から金をもうけようとする外国人が多数島にやってきたことと関係しているようだ。 
 
 以前、ビーチであったところに、バーなどが立ち並び、津波前より景観が悪くなってしまった。 
 
 「まるでパタヤ(タイの観光地)のようだ」と、金もうけ重視の現在のピーピー島の現状を嘆く声も上がっている。 
 
 その傾向は、バンコク・ポスト紙2006年末の段階で、島の経済が即席の現金収入を求める外国人らにとって代わられている状況を既に伝えていた。 
 
 津波対策についても、前述のジュエリー氏は、「津波避難経路ができたが、とても狭くて役に立たない」と指摘。 
 
 「政府が用意した津波避難に対する集会所の教育訓練にも誰も行こうとしないような状態。第一、津波の経験をした人の多くが島を去ってしまって、津波を知らないビジネス目的の人たちばかりが島にいる」と不安そうだ。 
 
 ピーピー島の語源は、マングローブの島。また外国人がピーピー島を呼ぶ発音は、そのままタイ語のピー、幽霊という意味にもなる。 
 
 2004年に襲った津波では、マングローブの過度の伐採が津波による被害拡大に寄与したと報告され、またその津波によって、ピーピー島は、瓦礫や、泥に埋まり、そして海に多くの死体が浮かぶ身の毛もよだつ光景が広がった。 
 
 ピーピー島の復興はそこから始まった。環境破壊や過度な観光開発の弊害など多くの教訓を残したはずだったが、その教訓は、必ずしも生かされていないようだ。 


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