2008年01月02日02時23分掲載  無料記事
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マレーシアでの次期総選挙、08年の早い時期に実施か

  【クアラルンプール2日】次期総選挙がいつ実施されるか−−。2007年のマレーシアの政治動向を追う中で一番大きな関心事はこの問いに終始したともいえる。結局07年に解散・総選挙が実施されなかったことで、今後は08年のいつごろ総選挙が実施されるかに焦点が移った。マレーシアの国会議員の任期は2009年4月まで残っているが、マレーシアの地元メディアの間では任期を1年以上残した08年の早い時期に総選挙が実施されるのではないかとの憶測が高まっている。 
 
 一方で07年11月までは早期解散、総選挙が実施されると予測していた外国のメディアは一転して、08年前半には総選挙は実施されないとの予測を立てるところが多くなっている。その背景には、07年11月にマレーシアで1万人規模の集会が2回おこなわれ、警察との衝突や大量の逮捕者が出るという結果となったことから、その「後遺症」が癒えるまで時間が必要になっているとの見方がある。 
 
 ウォール・ストリート・ジャーナルが12月中旬に、「マレーシアは(アンワル元副首相が電撃的に解任され、元副首相の支持者が抗議のデモを繰り返した)1998年以来最大の政治的危機に直面している。11月には約3万人の人びとが選挙改革を求める集会を開き、インド系マレーシア人2万人以上が経済的な差別を受けているとして抗議の集会・デモを実施した」との記事を掲載したのはその一例だ。 
 
 シンガポールの英字紙トゥデーも12月10日付の記事で、「マレーシアで暴動(抗議デモ)が繰り返し起こったことは、少数派の華人やインド人の与党連合に対する幻滅が広がり、投票が減ることを示唆している。政治的な緊張の高まりや街頭での騒動が繰り返し起こったことでマレーシアは以前にないほど揺さぶられることになった。よって08年早々にも総選挙を実施しようと狙っていた政府の自身が揺らいでいるので、08年の早期解散・総選挙はないだろうとアナリストは予測している」との記事を掲載した。 
 
 これに対してマレーシアの複数の地元メディアは、08年早期の解散、総選挙ありとの見方をとっている。選挙運動に支障を来すモンスーン期(雨期)が明け、中国正月(08年は2月7日が元旦)のお祝い気分にも一段落つく3月には解散、総選挙が実施されるのではというのが早期解散、総選挙の憶測を裏付ける要因になっている。3月総選挙実施説を打ち出した地元紙には有力華字紙・星洲日報などがある。 
 
 また英字紙ニュー・ストレーツ・タイムズコラムニスト、サイド・ナズリ氏は、外国のメディアはマレーシアの洗練された政治の流れを読みとっていないとして、以下の点から08年の早い時期に総選挙が実施されるとの見方を示している。 
 
■12月中旬に閉会したこの国会では、各国会議員はこれが総選挙前の最後の国会出席になるとの思いを抱いて地元に戻ったこと。 
 
■与党連合・国民戦線の情宣局がマレーシア各地で構成各党に対して選挙についての説明会を開いていること。中にはすでに地元に対する公約を作成した地域支部もある。 
 
■数年前に財務相を退任した後、政治的な言動をとってこなかったダイム・ザイヌディン元財務相が、華字紙・中国報のインタビューに応じ突然のように「与党連合はケダ州、セランゴール州、ペナン州の3つの『ホットスポット』(激戦区)に重点を置いて選挙に備えるべきだ」と発言したこと。元財務相は、マレー人が多数住む地域の中でケダ州は野党イスラム党に対する支持が予測できない地域であること、セランゴール州は犯罪の多発や貧富の差の拡大など都市部が直面する問題を多数抱えていること、ペナン州は野党の牙城のひとつであり、与党連合内での内紛を抱えている州であることから、この3地区を重点的に取り組むべき地区にあげた。 
 
 こうしたシグナルが現れていることから次期総選挙の実施時期はすぐそこまで迫っているとというのが、サイド氏の読みである。 
 
 なお、前回04年3月におこなわれたアブドラ首相就任後初めての総選挙では、与党連合・国民戦線が全議席(219議席)の9割を占める1999議席を獲得し歴史的な勝利を収めている。 


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