2008年01月16日13時45分掲載  無料記事
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捕鯨問題

日本の調査捕鯨を違法、中止求める 豪州連邦地裁が判断、実質効果はなしか

  【アデレード16日=木村哲郎ティーグ】オーストラリア連邦裁判所は15日、環境保護団体国際人道協会(HSI)による訴えから、日本の「調査捕鯨」が違法であるとの判決を下し、南氷洋のオーストラリア海域で行われる捕鯨活動の停止を命じた。被告である共同船舶は調査捕鯨の操業を担当しており、実質的に日本政府および日本鯨類研究所と一心同体。同社も「ほとんど100%が捕鯨関係の会社」と認めている。ただオーストラリアが一部の領土領海を主張している南緯60度以南は南極領域の持続的な平和利用を定めた南極条約によりいかなる国家にも属さないため、今回の判決による実質的な効果はゼロに等しいと考えられる。 
 
 「捕鯨裁判」は3年前に始まったが、共同船舶が出席を拒否したための被告不在で行われていた。原告のHSIによると、共同船舶が00年から1253頭のミンククジラと9頭のナガスクジラを殺戮したことによる違法性を主張。今回の判決で原告の主張が全面的に認められた。 
 
 ただ判決では日本による違法は認められながらも、裁判官自身が「拘束や逮捕は捕鯨船団がオーストラリアに入らない限り出来ないだろう」と語っており、判決の効力にはそれを下した司法側も懐疑的だ。 
 
 これに対し、HSIは、今回の裁判による勝利を「歴史的」と形容。オーストラリア政府による介入を直ちに望んでいるとの見解を明らかにした。しかしピーター・ギャレット環境相は「我々は日本が調査と呼ぶ捕鯨に真意で対立する」と語りながらも、「連邦政府は今回の裁判に関連していない」と述べるに留まっているのが現状。HSIとオーストラリア政府との間で温度差が見られる。 
 
 なおオーストラリア政府は現在、昨年11月に行われた国政選挙の公約に基づき、監視船オセアニック・バイキングを南氷洋に向かわせている。ちなみに環境保護団体グリーンピースの抗議船エスプランザは捕鯨船団を今月12日から追跡しており、同団体によると、捕鯨母船の日新丸とキャッチャーボートの勇新丸は現在、捕鯨海域外である南緯60度以北にいるとのことだ。 


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