2008年05月12日19時24分掲載  無料記事
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ビルマ民主化

「軍政はサイクロン災害を権力維持に利用」 ビルマ民主化勢力が非難

 
  【パリ12=飛田正夫】「彼らは災害を政治に利用している」─サイクロン被災者への国際的な救援活動を拒むビルマ(ミャンマー)軍事政権に対して、隣国タイで民主化運動をつづけるビルマ人らは怒りをぶちまけた。フランスの国営テレビ局A2は12日、ビルマ・タイ国境から、犠牲者の増加を懸念する国連と軍政の対応を非難するビルマ難民らの声を伝えた。 
 
 タイ国境の町メーソットから高速道路が川を跨いで走っている。これを250メートル行くと対岸のビルマ領の小さな町ミヤワディがある。しかし、「我々は入国を拒絶されたので、現地の通訳ガイドにカメラを託して(不法)取材することにした」とA2のロイック特派員は伝えた。 
 
 潜入したガイドの報告によると、ミヤワディのサイクロンの被害は少なかった。軍隊がパトロールしていて被害状況について話す人はなく、軍政について語る者はさらに少ない。それは非常に危険なことだからだという。 
 
 「CYCLONE AFFECTED POPULATION」と大書された国連のトラック2台がタイ側からビルマへ検問を通過するところが写しだされる。国連の高等視察官のビビアンヌ・タンさんは「私たちは一歩一歩進んではいるが不幸なことにシステムのせいでうまくはかどっていない。私は他の人道支援団体が援助に参加できるように、ビルマが多くの場を提供することを望む」と語った。 
 
 タイ側にはサイクロン以前に軍政の迫害・弾圧から逃れてきた少数民族カレンの難民キャンプがある。彼らは口々に、「サイクロンの被害を自然災害というのは正確ではない。政府の汚職の結果なのだ」と軍政を批判した。 
 
 メーソットを拠点とした民主化運動のリーダー、モーチーズン氏は「彼ら(軍政指導者)が外国からの支援を妨害するのは、檻の中の動物を手なずけるために食物を制御するのと同じように、彼らの権力を保持するために飢餓という武器を利用しているのだ」と批判した。 
 
 一方、国際ニュース専門のテレビ局、フランス24の記者は、最大都市ヤンゴン(ラングーン)周辺では支援団体の活動家や政府が救援を組織して村人もそれに協力してきているが、それとは対照的に災害の中心地であったビルマ南部地方では、道路は使用不可能な状態で封鎖されたままで、救援の手が届かないでいると報告している。 
 
 同記者によると、軍政はヨーロッパの支援団体などが当局の危機管理の失策を語る証人となることを恐れて、南部には寄せ付けさせないのだという。 


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