2008年11月24日14時25分掲載  無料記事
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話題の仏の女性法相に、今度は疑惑の指輪

  【パリ23日=飛田正夫】フランスのサルコジ大統領からの信任が厚いラシダ・ダチ法相。在任中に妊娠を公表するなど、とかく話題をさらう女性法相だが、今度は、フランスの裁判官や弁護士など534人から公式な謝罪を要求された。理由は、10月に収容施設で起きた16歳の少年の自殺をめぐって、同法相が取り調べ当局に過度に厳しい対応をみせたこと。一方、この記事を伝えた保守系フィガロが、ダチ法相の資料写真に“修正”を加えて掲載した疑惑も浮上する始末だ。 
 
 10月2日にフランス北東部の都市メッツの収容施設で16歳の未成年者が首吊り自殺した。この事件で、法相は現場に法務省高官を派遣、その後、現地の地方検事たちを夜の午後10時から翌朝1時ごろまで拘束し、尋問した。検事にこうした厳しい対応をとるのは異例で、司法官組合(左派)から非難の声が上がった。 
 
 これがもとで10月23日には、裁判官、弁護士、裁判所書記、刑務所の看視、青少年鑑別所所員たち数百人による全国の大都市で法相を非難する抗議ストが起きた。今回の534人の署名抗議は、その延長線上にあるもの。この中には、大審院副裁判官や副検事や高等裁判所長官などの名前が連なっているという。 
 
 一方、この署名抗議に関し、19日付のフィガロ紙は、一面トップでダチ法相の資料写真を入れて掲載した。使用された写真は6月17日の上院議会で撮影された。この写真には、法相の左手薬指にはめられた大きな指輪が写っていた、ところが、今回掲載されたこの写真からは、なぜかこの指輪が消えていた。指輪は、約230万円相当という高価な代物。 
 
 国営放送TV4チャンネルなどのメディアがこれを大きく伝え、反響を呼んだ。ダチ法相は、派手な生活ぶりを何度か報道されており、世界的な金融危機による経済の落ち込みの中で、サルコジ大統領も法相に行動に注意するよう助言を与えたといわれる。 
 
 フィガロ紙が、なぜ修正写真を掲載したかは不明だが、サルコジ政権寄りをいわれる同紙だけに、政権防衛に加担したのではとの批判の声も上がっている。同紙は、「判断ミスだった。二度としない」と弁明。修正を施したことについては、今回の記事は、ダチ法相の生活ぶりに焦点を当てる性格のものではなかったので、消したなどと述べている。 


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