2009年01月06日15時54分掲載  無料記事
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二極化社会を問う

「派遣村」撤収 国会へデモ、御手洗経団連会長には公開質問

  31日から日比谷公園で失業者や野宿者の支援を行ってきた派遣村は、5日に撤収した。実行委員会と村民はこの日、区役所への生活保護申請、国会への請願デモ、国会議員との話し合いなどをこなした。最終的に入村者は5日の時点で499人となった。うち内日比谷公園内テントや厚生労働省の講堂に宿泊した村民は489名。230人がFAXで生活保護を申請。3班に分かれて千代田区役所に手続きを行った。「派遣村」村民は東京都や厚生労働省が手配した都内4箇所の「緊急避難所」に向かったが、ここの12日で打ち切られる。(村上力記者) 
 
◆国会へデモ行進 
 
  幸運にもこの6日間は晴天に恵まれた。派遣村は多くのメディアの注目を集め、厚生労働省も講堂を開放するなどの対応をした。支援金は現金カンパ(日比谷公園の派遣村に直接現金で渡したもの)は合計2315万円。振り込まれたものはまだ集計していない。実行委員によると、これらの支援金はテントや毛布、車のレンタル代や、食材などの調達費として使われるという。 
 
  「派遣村」村民と実行委員会は、他団体とともに日比谷公園から国会までの請願デモをした。民主党、共産党、社民党、公明党が請願を受け付け、「頑張ろう!」とエールを送っていた。 
 
◆超党派で院内集会も 
 
  この日は第171回通常国会招集日でもあり、午後1時半から村民を招いての「住まいと雇用を守る緊急院内集会」が行われ、80人以上の超党派の国会議員が集まった。 
 
  院内集会では、村長の湯浅誠さん、民主党菅直人代表代行、共産党志位委員長、国民新党亀井久興幹事長、社民党福島瑞穂党首、新党大地鈴木宗男代表、大村秀章厚生労働副大臣(自民)、片山さつき衆議院議員(自民)がスピーチを行った。 
 
  村長の湯浅さんからは、「生きようとしている人たちを支えられる社会にしてください。人々ががんばっていこうと思えるためには、社会の支える力、政治の力が必要です。この派遣村の人たち、あるいは派遣村に来られなくて今さまよっている人たち、これから切られようとされている人たち、そういう人たちのために、これかた舞台はみなさんの側に移ると思います。是非よろしくお願いします!」と集まった議員らに向けて話した。 
 
  新党大地の鈴木宗男代表は「なんで『雇用と宿泊所を緊急に確保する国会決議』より、第二次補正予算を優先するんですか?みなさん、政治に心がないですね。政治は弱い人のためにあるんですよ」と終始片山さつき議員の方に目をやりながら話した。 
 
  「大村さん、片山さん、今日は来てくれてありがたいけれども、自民党の中で、この『雇用と宿泊所を緊急に確保する国会決議』くらいには賛成しようという声を出してくださいよ、お願いします」 
 
  片山さつき議員からは、「人を大事にする資本主義というものが、どういうものであるかもう一度考える必要がある」「失業率を上げてはいけない」との認識を示し、「与党としては、できるかぎりのことはしていきたいということを、ここに“偉い大村先生”も居るということで、申し上げておきたいと思います」と話した。 
 
◆「日本経団連御手洗会長にモノ申す」1・6行動 
 
  今回の「派遣村」は、行政、国会を動かしたが、当の「派遣切り」を率先して行ってきた大企業などは全く動いていない。そこで6日、「派遣村」に参加した派遣労働者や労働組合・ユニオンなどが中心になって、日本経団連の御手洗会長に対して申し入れを行った。 
 
《1/6 「日本経団連御手洗会長にモノ申す」行動のご案内》 
〜「派遣切り」について公開質問状〜 
 
  前略 御承知のとおり、日比谷公園で年末から行った「年越し派遣村」には、「派遣切り」で仕事と住まいを失った労働者が次々に入村し、その数は500人に及びました。政府が緊急対策として当面の宿泊施設を開放しましたが、その期限も12日まで。しかも、仕事と住まいを失った人は全国各地に溢れており、さらなる抜本的対策が必要です。 
  ところで、私たち労働組合や市民団体、そして、国や自治体も、雇用災害というべきこの事態に対処するため全力を尽くしているのに、「派遣切り」をした肝心の大企業は何もしていません。このままでいいはずがありません。 
  そこで、明日1月6日、派遣村に参加した派遣労働者や昨年12月24日に共同アピールを発した労働組合・ユニオンが中心になって、日本経団連の御手洗会長に対し、直接に公開質問状を手渡して申し入れを行うことにしましたので、下記の通りご案内いたします。 
 
  公開質問状は6日午後、ホテルニューオータニで開かれていた財界取材の新年賀詞交歓会に届けられた。 


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