2009年03月22日00時26分掲載  無料記事
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世界経済

ワシントンを買い占めていた金融業界 なんと50億ドル、3000人のロビイスト

  米国の非営利団体”Essential Information”と” The Consumer Education Foundation”は3月4日、“"Sold Out: How Wall Street and Washington Betrayed America(ソールド・アウト:いかにウォールストリートとワシントンはアメリカを裏切ったか)"と題するレポートを発表した(注)。231ページに及ぶ同レポートによると、米国の金融セクターはワシントンの政策を“買い取る”のに50億ドルを費やし、3000人のロビイストを投入した。こうして勝ち取られた規制緩和をはじめとする様々な政策が現在の金融危機を引き起こす誘引となった。(大倉純子) 
 
 
  同レポートは1998年から現在のメルトダウンまで、12の象徴的な政策改変を段階を追って紹介するとともに、金融業界の各セクターがどれくらいの金をロビイングに費やしたかを分析している。 
 
  1998年−2008年の間、ウォールストリートの投資会社、銀行、ヘッジファンド、不動産会社、保険業界は選挙資金や政治献金として17億2500万ドルを政界に貢ぎ、さらに34億ドルをロビー活動に費やし、連邦の法規制を自分たちの都合のいい方向に向けさせた。2007年だけで3000人近いロビイストが正式に登録し、金融業界のために規制緩和、投資の自由を連邦政府に働きかけた。そのツケをいま、一般市民が(何兆ドル単位で)払わされている。 
 
  「売国」に手を染めた程度は二大政党間で差はない。この10年間、政権掌握の割合に対応して、献金の55%が共和党、45%が民主党へと流れた。08年の選挙資金カンパは民主党向けが半分以上を占めている。 
 
  金融業界のお好みのロビイストは元政府関係者だ。金融界の20大企業を調査したところ、98年−08年の間にそれらの企業が雇ったロビイストの142名が元政府高官か行政府ならびに議会に勤務していた者だった。 
 
”Essential Information”は、ワシントンDCを拠点とする非営利団体で、行き過ぎた企業の力にブレーキをかける活動をしている。” The Consumer Education Foundation”はカリフォルニアをベースとする非営利団体で、消費者の損失を防止するような政策決定を働きかけている。 
 
(注) 
http://www.wallstreetwatch.org/soldoutreport.htm 


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