2009年09月19日00時11分掲載  無料記事
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世界経済

G20に向け、新政権に市民グループが意見書

  米国ピッツバーグで9月24日、25日の両日、各国首脳が集まりG20金融サミットが開催され、日本からは鳩山首相をはじめ新政権から関係閣僚が出席する。G20に向け日本政府はどういう姿勢で臨むべきか、労働、消費者、農業、環境、グローバル化などの問題に取り組んでいる市民組織や個人が市民の立場からのは意見を取りまとめ、9月18日に連名で、鳩山首相らに送った。意見書の中で市民グループは、小手先の景気刺激策ではなく、根本に立ち返って社会経済構造のあり方まで含めた議論をすべきであると提言している。(日刊ベリタ編集部) 
 
  以下、市民グループの意見書を紹介する。 
 
意見書 
 
「ピッツバーグ・サミットでの日本政府代表のポジションについて」 現在の経済不況からの回復を議論するため、きたる9月24日、25日、米国ピッツバーグにおいてG20金融サミットが開催され、そこに日本からも新政権の代表者が参加する見込みです。私たちはこの経済危機に対して各国首脳が協議することは有益であると考えますが、経済のグローバル化、マネーゲームのつけが回されたことによる今回の金融・経済危機に対して、根本から経済社会構造を問い直すことなく、取り繕う政策を掲げるだけでは問題の解決にはならないと考えます。以下の諸点を考慮したうえで、金融サミットに臨まれることを求めます。 
 
           記 
 
1)今回の金融サミットでは世界各国の景気回復の現状認識が議論され、各国の景気回復策の協調が検討される。そこでは各国の財政支出が必要だとし、そのために、財政を拡大し、大企業を支援したり、金融支援を続けるなどの景気刺激策の継続拡大が論じられよう。しかし、日本において、赤字国債の増発や税金のアップにつながり、雇用や社会保障問題への対応が後回しとなるようであれば問題である。予算の公平性、透明性の確保の点からも労働者・市民・中小企業者らの声を吸い上げてこの問題にあたるべきである。 
 
2)IMFや世界銀行、アジア開発銀行などの機能強化が論じられているが、これまでこうした国際機関が途上国での開発と引き替えに債務問題を引き起こした元凶であったことを指摘し、貸し手の側の責任も踏まえ、債務帳消しを含めた、あるべき支援措置を検討するよう問題提起すべきである。 
 
3)金融機関や大企業の不良債権処理を進めることの正当化のために、金融機関の役員報酬に関する規制を行うことが論じられよう。マネーゲームを再び行わせないためにも、役員報酬の公開と厳しい規制を進めるべきである。そしてなによりもこの問題においては、金融工学にもとづく金融商品の市場を批判的に分析し、今後のあるべき市場を検討する必要がある。 
 
4)金融サミットでは、9月5日まで開かれたG20財務相会議の結論を受けて、銀行の自己資本比率なども論じられよう。しかし欧米と日本の金融機関のヘゲモニー争いに他ならないこのような議論を行う前に、タックス・ヘイブン規制の実効性確保、ヘッジファンド規制の厳格化、「通貨取引税」の実現、など、マネーゲームを生じさせないための本質的な問題を日本政府代表が取り挙げ、議論をリードすべきである。 
 
5)G20サミットでは「保護主義を排しWTOやFTA/EPAによる貿易自由化論を経済回復の手段とする」と位置づけているが、これは大きな間違いである。GATTウルグアイラウンドの検証、WTOドーハラウンドの影響を検討し、各国の農業や中小企業、地域の人々にとってどのような貿易ルールが必要かを国民的に議論する必要がある。 
 
6)総じて、構造改革、市場万能論として現れた新自由主義的政策は今、見直されつつあるが、その方向性は産業界と国家が一体化した経済・金融政策として再登場している。根本的転換が必要である。それは、これまでの金融財政下支え・刺激策を通じた景気回復の道ではなく、また環境破壊や気候変動をもたらしてきた大量生産・大量消費の経済システムの維持ではなく、地球環境と人々の必要に応じた労働と生産を実現する経済システムに向けた転換である。地域主義や食料主権など経済の民主主義を実現する第三の道を提案する必要がある。 
 
7)またG20サミットそのものが世界の一部の国による会議であることを鑑みて、この会議そのもののあり方を見直し、これまで参加できなかった途上国の国々の参加、市民団体などNGOのオブザーバー参加など、6月に開催された「世界金融・経済危機と開発への影響に関するハイレベル会合」のように、金融危機で最も被害を受けた人々の意見を聞くというあり方を前提にすべきである。 


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