2010年01月03日14時17分掲載  無料記事
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TPP/脱グローバリゼーション

世界社会フォーラム、今年は世界各地で開催  日本では1月に東京、3月に大阪でさまざまな社会運動が集まり討論

  今世紀に入り、世界の民衆運動をリードしてきた世界社会フォーラム(WSF)は2010年は各国、各地域で開かれる。日本ではさまざまの分野の社会運動、NGO、労働組合などが集まり、1月24日に東京で首都圏集会が、3月21・22日には関西で「おおさか社会フォーラム」が開催される。(大野和興) 
 
■今年は世界で分散集会 
 
 WSFは毎年スイスのダボスで、政治家や大企業経営者が集まって開かれるWEF(世界経済フォーラム)に対抗する民衆運動のネットワークとして2001年にブラジルのポルトアレグレで開催されたのを皮切りに回を重ねてきた。開催地はポルトアルグレ、インドのムンバイ、ベネズエラのカラカス、マリのバマコ、パキスタンのカラチ、ケニアのナイロビと、新自由主義グローバリゼーションのしわ寄せをもっとも強く受けている第三世界で開かている。 
  2008年には世界の一箇所に集まることをやめ、世界各地で地域に根ざした集まりが持たれた。日本でも東京の下町、荒川で、それまでWSFに参加、連帯する取り組みを継続してきたグループにとどまらず、労働運動、野宿者運動、人権問題に取り組むグループなどさまざまな分野のグループが集まって催しを持った。 
2009年にはブラジルのアマゾン河口の都市、ベレンが舞台となり、そして2010年、ふたたび各地での分散集会がもたれることになった。 
 
  1月24日に開かれるWSF首都圏の実行委員会は、その呼びかけで集会の意義を以下のように述べている。 
 
「起こるべくして起こったとも言える2008年からの金融危機は、新自由主義の破綻を決定的に明らかにしました。その一方で、間違った政策のツケは、世界でも日本でも、民衆にまわされています。すでに、雇用構造の柔軟化や一連の福祉政策切捨ての結果、従来は女性や障害者、貧困層などに押し付けられてきた社会的格差の構造が、派遣労働者、パートタイマー、シングルマザー、フリーター、生活保護家庭、非常勤を含む現場の公務員、サラリーマン、中小・零細企業経営者、農民、漁民、雇われ管理職などにも、どんどん広がっていました。そして今回の危機が、社会全体を一挙に貧困のスパイラルにおとしいれました。こうした状況は、他方では保守主義、排外主義が蔓延し、排除の論理が叫ばれる窮屈な世の中を生み出しています。しかし、今回の危機で明らかになったのは、崩されつづけてきた社会的連帯の再構築が必要であるということです」 
 
■さまざまなテーマで討論 
 
  首都圏集会は次のような分科会がもたれる。「ル・モンド・ディプロマティーク(diplo)で読むもうひとつの世界」「マスメディア批判とジャクリメド創設」「安保と沖縄を問う」特別企画:変革のアソシエ(講座委員会)」「金融危機に対するもうひとつの対案:ATTAC Japan首都圏」「気候変動を考える:ATTAC Japan首都圏」「食の安全、遺伝子組み換えと農業問題:日本消費者連盟、脱WTO/FTA草の根キャンペーン」「労働運動の20年これまでとこれから」「ジェンダー視点からオルタナティブ社会を考える:ピープルズ・プラン研究所」「資本主義を問う」「貧困−居住の権利−非正規労働者の越境する連帯」などが予定されている。全体会は夜、「WSFの10年/新自由主義の20年〜危機に対する私たちの回答」をテーマに開かれる。 
また3月の関西の集まりは「もう一つの大阪は可能だ!」「グローバル金融危機、カジノ資本主義と貧困、格差、非正規雇用」「環境問題、特に気候変動、生物多様性について」「アジアの平和、核廃絶」などをテーマに開催される。実行委員会は、すべてのテーマを貫いて、地域から行動を始める、地域におけるさまざまな活動と連携していくことを大きな目標としたいとしている。 
 
  会場は、首都圏集会は「在日本韓国YMCA」で午前9時30分から午後8時まで。 
  関西は第一日目の3月21日(日)は午後から北区民センターホールで全体会を開催し、リレートーク、文化イベント、海外ゲストの発言などを予定。第二日目の3月22日(月)は、午前から夕方まで、エルおおさかの多くのホール・会議室を借りて、各団体が企画するワークショップ、ブースなどに開放する。 


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