2010年03月10日02時01分掲載  無料記事
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9/11「陰謀論者」と民主・藤田議員を攻撃 ワシントン・ポストの奇怪な社説 

 8日付の米紙ワシントン・ポストは、民主党の藤田幸久議員(党国際局長)を米同時テロの陰謀説を示唆する発言をした「奇怪」な人物として酷評する記事を掲載した。記事は「ユキヒサ・フジタは日本の与党・民主党内で影響力を持つ人物である」と名指しで始まり、同氏のような「事実をねじ曲げるような人物」を民主党が容認するようでは、日米関係にも悪影響をもたらすと「警告」している。日本の一議員を名指しで同紙がここまで批判するのは異例中の異例。内容も同紙の社説にしては一定のバランスを図ろうとする様子もなく、友好国の議員への一方的な批判に終始した「奇怪」な内容だ。藤田議員は猛反発しており、事実関係の訂正や同紙に反論文の掲載を求めることも検討している。(ベリタ通信) 
 
 同紙は藤田氏が、同時テロ実行犯の何人かがまだ生きているとアフリカなどで本人が名乗り出ている(英BBC放送が既報)、事件を事前に察知した何者かが株式市場で利益を上げた(複数の米紙、日本のメディアも既報)などと指摘したことを紹介。「民主党や鳩山政権に一貫する反米姿勢」を反映しているとこきおろした。 
 記事が出たタイミングは奇しくも与党3党の検討委が普天間の移設候補地を提案する会合が開かれた日だった。 
 
藤田議員が指摘した疑惑は、一部の米主要メディア、日本のメディア(最近では「週刊朝日」など)でも報じられている内容であり、この問題を追及している人々の間では、特段、目新しいものではそもそもない。 
 
 藤田議員によると、社説には署名はないが、記事を執筆したとみられるのは、リー・ホックスタッダー同社編集委員。同編集委員は3月3日、日本のフォーリン・プレスセンターの仲介で「在日外国人問題、日本の移民政策について取材したい」と申し入れて、東京で約1時間、議員にこの問題を取材した。 
 一通り取材が終わった後、藤田議員が取材後の懇談と理解していた会話の中で、米同時多発テロについてホックスタッダー編集委員は議員に雑談風に見解を尋ねた。記事の内容は、その時の会話を元にしているという。 
 
 藤田議員は「記事は私が参議院の外交防衛委員会委員長であるかのような明らかに間違った記述(実際には「国際・地球温暖化問題に関する調査会筆頭理事」)があるほか、私がいわゆる『陰謀論』は支持していないと強調したのに、陰謀論者であるかのように書かれた」と憤慨している。 
 
 藤田議員は2008年1月、米同時テロの犠牲者には24人の日本人がいるゆえ、犠牲者への補償などの問題に日本政府がどのように対応したかについて国会質問した。 
 日本も犠牲者がいる当事国の一つである以上「9/11をめぐってさまざまな疑惑が指摘されているのであれば検証、再調査が必要」と主張しているが、非科学的な根拠から事件を「でっち上げ」と断定する「陰謀論」とは一線を引いている。 
 
 鳩山首相は9日夕、「個人の見解であり、党の見解でも政府の見解でもない」と一蹴したが、ワシントン・ポストを引用して報道した日本の大手紙は「鳩山政権にとって対米関係上の打撃になるのは必至だ」(毎日新聞)などと報じている。 


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