2010年11月25日13時19分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201011251319384

文化

第4回国際有機農業映画祭が11月27日に都内で  世界でここだけ有機農業映画祭、農と食、いのちの大切さを訴える

  市民の有志によって毎年都内で開かれている「国際有機農号映画祭」が今年も11月27日朝から、東京・国立オリンピック記念青少年センター大ホールで開催される。第4回を迎える今年の映画祭のテーマは「たね・水・いのち」。初公開の作品を含め、内外9本の作品が午前9時30分から午後8時まで上映される。参加費は2000円(25歳以下の方は1500円)。当日入場も可。(日刊べりタ編集部) 
 
■上映プログラム 
 【11月27日】(開場9:00、上映9:30〜20:00) 
 
  9:30 『アフガンに命の水を 〜ペシャワール会26年目の闘い〜』 
                       (2009年/日本) 
 10:50 『ミシシッピ』(2009年/アメリカ) 
 11:22 『海と森と里 つながりの中に生きる』(2010年/日本) 
 12:00 昼食休憩 
13:00 『3分ビデオ』 
13:30 『「緑の革命」光と影』(1992年/インド) 
      上映終了後解説:田坂興亜 
 15:00 『パーシー・シュマイザー、モンサントとたたかう』 
                    (2009年/ドイツ) 
 16:25 『種を採る人』(2009年/日本) 
 16:56 『雑草』(2008年/韓国) 
 17:55 『水俣の甘夏』(1984年/日本) 
 19:10 『田んぼは僕らの教室だ!』(2009年/日本) 
 
詳細は下記で。 
   URL:http://blog.yuki-eiga.com/?eid=1383406 
 
【解説】 
 ◆『アフガンに命の水を 〜ペシャワール会26年目の闘い〜』 
  ペシャワール会は、中村哲医師を現地代表として、1984年にパキスタンのペシャワールで医療団体としてスタートした。水と食糧があれば大半の病気は治ると考え、2000年から1500本以上の井戸を掘り、全長24キロの農業用水路の建設を行なた。延べ60万人もの雇用をうみ、難民か軍閥や米軍の傭兵になるしかなかった村に、平和をもたらした。3000haの田畑が甦り、10万人を超える農民の暮らしが戻ってきた。 
 
 ◆『ミシシッピ』 
  ピースボーイ賞受賞作『キング・コーン』の続編。前作ではアメリカ、アイオワ州で青年イアンとカートがコーン栽培を通して食料、飼料としてのコーンビジネスの抱える問題を扱った。ここでは彼らの畑で使われた肥料、農薬を追う。近代農法とアグリビジネスのもたらす副産物に青年たちが疑問を投げかける。 
 
 ◆『海と森と里 つながりの中に生きる』 
  すべての生き物の生命は、自然の巧みな循環に支えられている。更新を繰り返す森、栄養分を運ぶ川、その水が育む稲や汽水域のプランクトン、それを食物連鎖の底辺として命をつなぐ魚や貝――。「開発」が、いかにその循環を断ち切り、海や森、里や川を変えてきたかを追う。自然の 循環の中に人間の営みを位置づける方法は? 
 
 ◆『「緑の革命」 光と影』 
  20世紀で最も成功した発展戦略の1つとされた「緑の革命」は、発展途上国が確実に飢饉から脱却したと信じられている。しかし25年後、この成果を誰が受け取ったかと問いかけ、「緑の革命」の暗く複雑な側面を明らかにする。インドにおける「緑の革命」は、新しい農奴層を作り出すのに一役買い、初期の劇的な生産高は農薬中毒とともに減少し、奇跡的な小麦の品種は短命で終わった。 
 
 ◆『パーシー・シュマイザー、モンサントとたたかう』 
  カナダの農民パーシー・シュマイザーの菜種畑は、風で飛ばされてきたGM(遺伝子組み換え)種子によって汚染された。彼は50年間の仕事の成果を失った上に、GM種子を開発したモンサント社に特許権侵害で訴えられ、敗訴。さらに彼と家族を監視し、精神的ダメージを与え続けた。 
  彼らはその圧力に屈せず最高裁に訴える。米国でも同様に抵抗する農民達がいた。モンサント社の狙いは何か? 巨大企業に立ち向かう農民を支えるものは何か? 最高裁の下した判決は? 
 
 ◆『雑草』 
  何の役にも立たないと思われている雑草が土を育てる様を検証していく。雑草はただそこに生えているだけで価値があること、枯れたように見えても春には再び芽吹く。その様子や受粉、種子の移動の神秘的な仕組みを絵解きしていく。作物の育たなくなった畑でも草が生えるし、草が重金属を取りこむことも。このように雑草は土壌を浄化し、生態系をよみがえらせる働きもする。 
 
 ◆『種を採る人』 
  現在国内で自家採種している農家はわずかだ。長崎県雲仙市の農家、岩崎政利さんは、年間80種もの在来野菜の種を採っている。ごく普通に農薬を使っていた。ところが、30代のとき突然体がしびれ倒れる。原因不明だったが、農薬害が頭をよぎる。リハビリのため雑木林を歩き回る中で、木々や生き物が共存し、雑草が自らの種を落として子孫を残す姿に気づき、「雑木林を畑に再現したい」と岩崎さんの農業は再スタートする。1年にわたり畑と岩崎さんの種採りの様子を追っている。 
 
 ◆『水俣の甘夏』 
  水俣病は漁民から海を奪った。海を奪われた人々が甘夏ミカン作りに取り組む中で、「自分たち被害者は加害者にならない」と、7年かけて農薬の撒布を、農協指導の年18回から3回に抑えていく。畑に生き物が戻り、土が生き返っていった。しかし、予想外の事件が。一部の人が除草剤を散布したのだ。話し合を重ね、苦悩の数ヶ月を過ごす。彼らは「何一つ公開しなかったチッソと同じことをやれない」「何でもありのままに出そう」との結論に。そして除草剤を散布した仲間を、受け入れる。 
 
 ◆『田んぼは僕らの教室だ!』 
  舞台は有機農業運動の地、山形県東置賜郡高畠町二井宿小学校。運動を牽引してきた星寛治は、高度経済成長のなか画一的で大量生産を目指す農業と教育の姿とを重ね、町の教育委員このえ時代に学校農園を提唱した。その考えに共鳴した若き教師伊澤良治が「農」の教育を始めて30数年。二井宿小学校長になった伊澤は、「田んぼの教室」で給食自給率50%を目指し、「食」から「農」へ、「農」から「地域」へ、「地域」から「生活」へ と子供達の学びをつなげていく。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。