2013年05月26日21時02分掲載  無料記事
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TPP/脱グローバリゼーション

全国から2000人が集結 東京で「TPP参加をとめる!5・25大集会」

 今からでも遅くはない、TPP参加を撤回しよう…5月25日、東京・港区芝公園で「TPP参加を止める!5・25大集会」が開催された。9月で終了すると伝えられる交渉に今から参加しても日本が得るものは何もないばかりか、日本の社会制度そのものが破壊されかねないこのおかしな協定に、日本政府はなぜそれほどまでに参加したがるのか…。集会では「TPPは、多国籍巨大企業の利益のために、日本を含むアジア太平洋地域の人々のいのちとくらしを壊し、主権を脅かす協定。交渉参加を撤回させよう」とのアピール文を採択、トラクターを先頭に銀座までの約3kmをデモ行進した。(上林裕子) 
 
 集会には農業生産者団体、労働団体、医療関係団体、市民団体など311団体が賛同、一般市民も含めて2000人が参加した。12時30分から始まった集会では駆けつけた国会議員や生産者団体、生協などの代表がそれぞれの立場・地域を代表してアピールを行った。 
 
 参加した生協の組合員は「これまで生産者と協力して産直を行ってきた。そうした協力体制がTPPで壊れる。食の安全が壊れてしまうことも不安だ」と訴えた。 
 
 慶応義塾大学教授の金子勝氏は「みなさん、きちんと確認してほしい」と呼びかける。日米合意文書にはISD条項、国民皆保険、聖域なき関税撤廃、安全基準、政府調達や金融政策における日本の特殊性を考慮する等の交渉参加の6原則について一切書かれていない。「これほどの公約違反を民主党がやればメディアは一斉に叩くが、自民党がやればTPP交渉頑張れとエールを送る。TPPの中身の恐ろしさについて、ごく初歩的な報道もない。日本のほとんどのメディアは壊れてしまっている」。 
 
 「政府調達については合意文書に書かれているのに政府が発表していない。例えば小さな町々では入札の形をとりながらも町の小さな事業者に町の事業を割り振るようにしているところもあるが、そうしたことも入札条件がアンフェアであるとプレッシャーがかかってくるだろう」。 
 
「医療器械の審査基準を米国並みに緩め、医薬品の知的所有権の延長で薬価が高止まりすることで保険財政が圧迫されるので、診療報酬は上げずに医療器械と医薬品の支払いのために日本の保険がつかわれていくことになる。高額な医療機械や医薬品が大量に入ってくることで保険外診療が拡大すれば、大手の医療機関は保険外診療に動いていき、国民皆保険は実態的に壊れていくだろう」。 
 
 この日4台のトラクターと共に集会に参加したJA茨城の生産者は「水戸納豆は怒っている!」と言いながら、でもまだあきらめてはいないと語る。 
 
 「まだ、山場は3つある。1つ目は7月米国議会が日本の参加を認めるか。2つ目は参加が決まって自民党が公約6項目を主張すれば合意には至らない。最後の砦は国会批准をさせないこと。我々は議員から反対するとの誓約書を取っている」と、最後まであきらめないで反対しようと呼びかけた。 
 
 「秘密のTPP」では、交渉に参加しない限り、これまでどんなことが決まったのか知ることもできない。参加して初めて「こんなことが決まっていたのか」とわかって抜け出したいと思っても、勝手に抜けることもできない。 
 米国の市民団体パブリック・シチズンのローリ・ワラック氏は、「国民が知ったら反対する。だから秘密裏に交渉を進め、交渉後も4年間、国民に知らせないようにしているのだ」と指摘する。 


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