2013年08月30日23時06分掲載  無料記事
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中東

シリア戦争 「欧米の真の標的はイラン」 英インディペンデント紙のロバート・フィスク記者

  シリアはイランと軍事条約を結んでおり、シリアが攻撃された場合、イランは反撃を行うとしている。英国のインディペンデント紙の中東専門記者、ロバート・フィスク(Robert Fisk)記者は欧米の真の標的はイランだとしている。 
http://www.independent.co.uk/voices/comment/iran-not-syria-is-the-wests-real-target-8789506.html 
  フィスク記者は1つのエピソードを挙げている。かつてサダム・フセインが米国の友人だった当時、イラクはイランと闘っていた。米国は原理主義革命を起こしたイランつぶしを画策しており、イランの敵、イラクにテコ入れしていた。1988年にサダム・フセイン側がハラブジャ(Hallabjah)で毒ガスを使ってクルド人を殺した時、米国はイランが真犯人だとしていた。イラクがハラブジャの毒ガス殺人の犯人であるとして米国から告発されるのはイラク戦争が始まる2003年のことだった。フィスク記者は、このエピソードをもって、シリアのアサド政権に対する化学兵器疑惑も怪しい、と見ているのである。 
 
  化学兵器で今、騒ぎ立てているけれどそもそも米国はイラン人がイラクの毒ガス攻撃で殺されるのを長い間(イラン・イラク戦争1980−1988)黙認していたとフィスク記者はその二重基準を告発している。毒ガスで殺されたイラン兵の死者数も数千人規模だという。実際、フィスク記者はテヘランに向かう毒ガス負傷兵の移送列車に同乗して、その異臭に列車の窓を開けていたと書いている。 
 
今回、ここに来て急に欧米が行動に出ようとしているそのタイミングについては〜フィスク記者の推測では〜アサド政権軍の勝利が間近に迫っていることだ。アサド政権軍が勝利して内戦に終止符が打たれればすべての努力が泡沫に帰してしまう。 
 
もしフィスク記者の推測が正しいのなら、アサド政権への攻撃に対する報復攻撃をイランが行うのを待ってから、いよいよ真の標的であるイランを叩くということなのだろうか。 


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