2014年06月29日13時16分掲載  無料記事
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TPP/脱グローバリゼーション

【ほんまやばいでTPPその6】 経済と軍事の環としてのTPP 大野和興

 最後ですけれでも、もう一つ重要な論点にTPPと安全保障、軍事との関わりがあります。2012年、「経済と軍事の環としてのTPP」という文章を書いたことがあります。そこでは「武器輸出三原則の廃止」の目玉は、武器開発と武器輸出であること、世界の武器市場がアジアに集中してきていること。それを日本に取り込む。それが日本の経済成長のためだ。そしてそのためにはTPPが大事だと。そういう論理がまかり通っていると書きました。それがいま進んでいる安倍成長戦略アベノミクスの核心のところです 
 
◆アジア軍拡競争と武器市場 
 
 2011年の秋に、ホノルルでAPEC首脳会議がありました。野田首相の時代です。オバマ大統領も来て、実質的な一定の合意が得られるだろうと言われていたので、われわれも反対運動をするために行き、向こうの人たちとデモをやったりしました。オバマはその後、アメリカに帰らないで、オーストラリアに行った。 
 
 ダーウィンというオーストラリア軍の基地が、オーストラリアの突き出しているところにあります。そこはオーストラリア軍の基地なのですが、その時オバマはオーストラリアの首相と会談し、アメリカ海兵隊を常駐させるという協定を結びます。中国を包囲する一番外周のラインをつくったわけです。 
 
 その後、オバマ国に帰らないで、インドネシアのバリ島に飛んで、ASEANと日中韓を含めた首脳会議に出ます。その時彼は、イラクとアフガニスタンは終わった、これからアジアにアメリカのプレゼンスに重きを置くという演説をします。 
 
 ちょうどその頃、野田が「武器輸出三原則を廃止する」と言い出しました。民主党が言い出して、今に引き継がれているのですが、「武器輸出三原則の廃止」の目玉は、武器開発です。アメリカと一緒に武器開発できるようにしないと武器市場に取り残される、武器開発から取り残されるということで、「三原則廃止」を進めたわけです。アジアが今、世界の軍拡競争の目玉になっています。中国と対立する台湾、ベトナム、フィリッピン。それから日本の防衛予算が2年連続増えています。今回、沖縄の対策などずい分増えている。つまり、世界の武器市場がアジアに集中してきている。それを日本に取り込む。それが日本の経済成長のためだ。そしてそのためにはTPPが大事だと。そういう論理がまかり通っています。それがアベノミクスの核心のところです。 
 
◆核武装網と安倍・原発輸出 
 
 もう一つの核心は、原発です。ご存じの通り、原発を持つということは核兵器を潜在的に持つということです。安倍首相はトルコに、ベトナムに、台湾に原発を売り込んでいます。それを地図に落としていくと中国包囲網と重なります。原発輸出を原発輸出だけで見ないで、そういうふうなところに落とし込んで見ていくことで、今、安倍政権なり日本が考えていることが見えてくるのじゃないか。 
 
 TPPとは、実はそういう仕掛けなんだと、そういう風にわたしは思っております。いろんなところで話しますと「大野さん、それは考えすぎだ」という風にだいぶ言われたのですが、最近は「そうかもしれんなぁ」と言われるようになりました。 


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