2014年11月12日12時10分掲載  無料記事
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文化

'Ton jihad et le mien'(お前の道と私の道) 中東に帰りたい欧州在住のムスリム青年の心の葛藤と家族を描いたフロレンス・カーの新作小説

  今、フランスで発売されたばかりの新刊書「Ton jihad et le mien(お前の道と私の道)」はフロレンス・カーによる小説だ。現在ニース在住の女性作家、カーは以前はレバノン生まれ。ルーツとしてはフランスの血が3分の1、レバノンの血が3分の1、スイスの血が3分の1を占めると言う。ベイルート大学を卒業し、以前はジャーナリストで専門は中東だった。この小説は今、話題を独占しているイスラム国などのジハード(聖戦)が底流にある。 
 
  筆者は未読だが、出版社によると次のような物語。 
 
  パレスチナ出身のイスラム教徒の母子がフランスに移住。息子のハニは思春期を迎え、今起きているジハード(聖戦)に飛び込むべきか悩む。子供の頃、ハマスの大人に囲まれて育ったため、武装闘争への傾倒が片方にある。しかも、異文化の地・フランスでは排外主義も高まっている。そんな中、シリアやイラク、パレスチナへ行って闘いたい、という衝動がある。そんな息子を母親のサラが見守り、危険から遠ざけ、祖父ゆずりの寛容さと精神探究の道に息子の目を啓かせようとする。だが、果たしてそれは可能なのか・・・。 
 
  フロレンス・カーによると、ジハードと言う言葉には2つの意味がある。小さな意味では知的探求や武装闘争を含む聖戦という意味。大きな意味では自分の精神を極めるための探求という意味。だから、原題のジハードをどう訳すかはとても難しい。 
 
■作家フロレンス・カー氏のホームページ 
http://www.florence-ka.com/?p=125 
 
 
■レバノン 
 
  外務省によると、人種と宗教の混交するレバノンには18の宗派が存在し、各宗派に政治権力配分がなされている。大統領はキリスト教のマロン派、首相はイスラム教のスンニ派、国会議長はイスラム教のシーア派。 


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