2015年07月18日14時37分掲載  無料記事
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TPP/脱グローバリゼーション

<TPP交渉の見通し> 悪路の待ち受けるTPP 一歩狂えば“漂流”もあり

 米大統領に貿易交渉を一任する法律(TPA)が通り、まもなく首席交渉官会合(23〜27日)、閣僚会合(28〜31日)が開催され、T 
TPPは佳境に入ります。USTR(米通商代表部)の関係者は“大筋合意は未だ確実なものとはなっていない”と漏らしています。日米両政府にとっても、まさに綱渡り!一歩間違えばTPP漂流もあり!という情勢です。(近藤康男) 
 
 今後米国で必要な手順は以下のとおり。 
(1)米国議会の意に沿うTPAはTPP参加国の意に沿わない(再交渉、為替問題、米国基準等々) 
(2)TPAと関連法案は共和党、民主党自由貿易派、同自由貿易反対派の間の利害対立だらけ 
(3)弱体化した大統領と共和党の間の手柄の綱引き=大統領の手柄を小さくすればTPPの進みは遅くなる 
(4)遅くなれば大統領選の争点になり、審議は延びる。 
 
 そして交渉参加各国間では、(1)2国間の市場開放交渉、(3)医薬品開発のデ−タ保護期間、(3)ISDS,(4)国有企業改革、などで鋭く対立が続いています。 
 
 ちなみに甘利担当相は、11月辺りの臨時国会でTPP審議と批准を考えています。 
 
◆以下は7月末大筋合意、11月半ばに妥結・署名とした場合の、米国内での手続きの流れです。 
 
・7月末:閣僚会合で“大筋合意”⇒条文作成・法的チェックの作業 
・8月半ば:TPAに基づき米議会に協定締結の意向を伝達(署名90日前に) 
・9月半ば:TPA妥結=署名30日前に条文をUSTRのサイトに掲載 
・10月半ば:妥結=署名30日前までに成文の写しと必要な行政措置を議会に提供 
・11月半ば:TPP妥結・署名((APEC首脳会合に並行して?) 
 
 署名後105日以内に国際貿易委員会の評価、実施法案を議会に提出し、ここから審議が始まります。(評価作業は署名前にも開始) 
105日間を使ってしまうなら審議開始は2月末になってしまう。 
 
 こう見てくると、米国でのTPP協定とTPP“実施法案”の審議は年内開始がやっとかということになります。審議は下院で60日以内、上院で+30日以内、両院で20時間以内という決まりです。 
 
 その一方で米大統領選挙が本番に入ります。16年1月/2月大統領予備選投票が開始され、7月両党候補者指名、16年11月8日大統領選挙投票日という流れです。 
 
(こんどう・やすお 「TPPに反対する人々の運動」世話人) 


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